日本でのSTAFF START導入は2021年7月。店舗スタッフによるG-SHOCKやBABY-Gのスタイリング写真を、おすすめポイントなどとともに投稿する「G-SNAP」の運用が始まりました。運用を開始した初月から、STAFF STARTの投稿を経由した場合のCVRは、非経由時と比べて3~4倍高い結果となり、EC売上に貢献を果たしています。まずは、日本での活用状況からお伝えします。
伊藤氏:直営店舗の「G-SHOCK STORE」には、G-SHOCKやBABY-Gに詳しいプロフェッショナルが揃っています。そうした接客の力をオンラインに活かさない手はないと、これまでもニュースレターや接客動画にスタッフを起用してきました。しかし、どれもいまいち効果の「見える化」ができなかったため、店舗やスタッフも意義を見いだせず、施策が続かないケースが多々あり課題を感じていました。そういった中、スタッフによるオンライン接客と、その実績を可視化できるSTAFF STARTの存在を知り、興味を持ったのがきっかけです。
伊藤氏:はじめて御社の担当者からSTAFF STARTを説明してもらったときに、導入までの道筋を明確にイメージできたことが決め手のひとつとなりました。ECサイトとの連携だけでなく、スタッフが投稿に使用するアプリの使い勝手が良く、これならば活用できるという自信を持てました。そして、何より一番の決め手は、STAFF STARTが従来のツールにはない強みを持っている点です。STAFF STARTの魅力は、スタッフ自らが自社ECサイトに直接投稿ができ、その投稿によるEC売上を可視化できること。オンラインとオフラインの融合という社内の方針ともマッチしていたことから、とんとん拍子で導入が決まりました。
伊藤氏:STAFF STARTによる投稿を見た時の方が、見ていない時と比べてCVRが3~4倍高い結果となっています。運用を始めた当初から今に至るまで、浮き沈みなく安定して成果を出せている状況です。もともと購入意向のあるお客様の最後の決め手に、または、買おうか迷っているお客様の購買のひと押しにSTAFF STARTが一役買っており、数字には非常に満足しています。
また、当初はG-SHOCKのスタイリング投稿は男性中心に見られるものと想定していましたが、実際には女性が投稿を見て購入するケースも多く、女性から男性にG-SHOCKを贈るプレゼント需要を促進するコンテンツにもなっています。
日本カシオのスタッフ投稿をチェックする
岡田氏:これまで店舗とECはお互いに関わりが薄かったのですが、毎月STAFF START経由の売上を振り返る会などを開くようになり、店舗とECをひとつのサービスとして捉える意識が広がりつつあります。
スタッフは、自分の売上がアプリのプッシュ通知から届くのをモチベーションに、楽しみながら投稿に取り組めていますし、より成果を出すために自主的に工夫する姿も見られるようになってきました。お客様が投稿をきっかけに来店して下さるなど、店舗運営との相乗効果が生まれていることも、動機付けになっているようです。
伊藤氏:スタッフの自主性に任せることでしょうか。慣れないうちは、スタッフもどんな写真を撮ればよいか迷うだろうと思い、①時計のアップ、②上半身の写真、③全身の写真の3つをセットに投稿することと、他社のロゴが映り込まないようにするといったガイドラインをはじめに設けました。しかし、基本的にはこちらから細かく指示するというより、スタッフ自身が創意工夫して取り組めるよう、ルールで縛りすぎないようにしています。
日本カシオでCVRが高い投稿例をチェックする
岡田氏:はじめのうちは、投稿に苦手意識や抵抗感を持つスタッフもいたので、それを払拭するにも、ある程度スタッフの裁量に任せることが必要だと考えました。こちらから無理矢理にやり方を押し付けなかったことが、投稿内容をスタッフが一生懸命考えるきっかけになり、結果的にクオリティ向上に繋がったのだと思います。いまは月の投稿目標を2本としていますが、それ以上に積極的に投稿してくれるスタッフも出てきました。
岡田氏:任せるところと、そうでない部分の見極めは難しいです。あまりにも任せすぎると投稿する商品に偏りが出たりするので、それをハンドリングするのが我々の仕事だと思っています。
岡田氏:これまで投稿は一律、顔出しなしの運用をしてきましたが、今後は希望する人には顔出しOKにして、よりスタッフの個性を販売に活かせる環境を整えたいと思っています。そういった自由な風土やカルチャーを打ち出すことは、ブランド力や販売力の強化にも繋がるはずです。
伊藤氏:従来、プロダクト重視の売り方をしてきたG-SHOCKですが、ここのところ若手世代に向けた共感マーケティングを意識するようになってきています。そういった中で、STAFF STARTを導入し、店舗の若手スタッフがG-SHOCKを等身大に、よりリアルに訴求できるようになったのは、これまでにない画期的なことです。
さらに今後は、店舗のスタッフ以外にも投稿できるメンバーを増やせると面白いと思っています。例えば、G-SHOCKやファッション好きな社内のメンバーで「G-SNAP」投稿チームを立ち上げたり、G-SHOCKの企画者自らがプロダクトのおすすめを投稿できると、より魅力的なものになると思います。
世界140カ国以上に販売網を持つグローバル企業であるカシオ計算機では、国内にとどまらずグローバルでDXを進めています。そうした取り組みの一環として、2021年9月には、台湾カシオにSTAFF STARTを導入。ECで高い販売実績を出すインフルエンサースタッフも誕生しています。ここからは台湾におけるSTAFF START取り組みや成果の状況についてお伝えします。
永島氏:台湾には19の直営店舗があり、現状では店舗での売上が大きなボリュームを占めます。こうした状態からECの売上の拡大を図るには、店舗とECが競合関係にならず共存できる仕組み、もう少し具体的に言えば、店舗の接客力をECの強化に活かし、さらにECサイトから店舗へ送客できるような仕組みを作ることが重要だと考えていました。こうしたなか、すでに日本で先行して導入していたSTAFF STARTであれば、そのスキームや活用事例を活かせると考え、日本と一緒のタイミングで台湾でも取り組みを始めたいと考えました。
台湾カシオのスタッフ投稿をチェックする
永島氏:あまり馴染みはないようで、最初のうちは台湾のスタッフも戸惑っていました。しかし、写真の撮り方など細かい点も含めて、先行していた日本の事例を参考にすることができたため、作業自体には割とすぐに慣れることができました。
永島氏:「EC拡大」という会社の打ち出した方針に対して、店舗の売上が減ってしまうのではないかと不安に感じていたスタッフもいましたが、STAFF STARTを導入したことで、ECについても自分たちの店舗と同じように売上を伸ばしたいと、前向きな気持ちを持てるようになったと思います。
八木氏:もともと台湾のスタッフは恥ずかしがり屋の気質があるのですが、だんだんと投稿にも慣れてきて、取り組み方や投稿に対する意識が変わってきていると感じます。
永島氏:導入から9か月が経過し、毎月EC売上全体の2割前後がSTAFF START経由と、確実に売上に貢献しています。また、ECサイト全体の結果と比較して、STAFF STARTの投稿を経由したCVRは7倍と購買の後押しに繋がっています。
STAFF STARTの導入にあたっては当初、EC内で大々的に打ち出すなど取り組みました。それも奏功して、投稿を参考にするユーザーが着実に広がってきていると実感しています。
八木氏:STAFF STARTを通じたスタッフの投稿は、正面からの商品画像とは違い、様々な角度からの写真や、コーディネートの雰囲気とあわせて、よりリアルに着用感が伝わるので、安心して商品をお買い求めいただけるようになりました。また、STAFF STARTをはじめたことで、店頭の接客ではあまり目立たなかったスタッフが成果を出しはじめるなど、スタッフの新たな能力や魅力を引き出すきっかけにもなっています。
台湾カシオでCVRが高い投稿例をチェックする
永島氏:特に、20代女性の購入者が増加傾向にあります。ギフト購入目的の方が投稿を見ることでコンバージョンに繋がっている、あるいは、STAFF STARTに投稿しているスタッフの9割以上が女性であることから、女性×G-SHOCKのコーディネートがイメージしやすくなり、女性の購入が増えているのではないかと見ています。
永島氏:いいえ。台湾では独自に通常時の売上に対するインセンティブを設けているほか、テーマや商品を指定した「投稿コンテスト」を行い、期間内に優秀な成績をおさめたスタッフを表彰する取り組みを行っています。また、毎月の店長会議で売上上位者やパフォーマンスが高かった投稿を紹介したり、投稿時のワンポイントアドバイスを伝えることなどにも取り組んでいます。インセンティブはもちろんですが、台湾においては、表彰がスタッフのモチベーションを維持する上では非常に重要だと考えています。
永島氏:最新のトレンドやファッションに関心があり、楽しんで取り組めているスタッフが、成績をあげています。これまでの接客成績問わずキャリアが浅いスタッフでも、EC売上でトップクラスに入ったり、実際に、STAFF START売上の4分の1を1人で売り上げるスタッフが登場しています。
そこで台湾では現在、スタッフのインフルエンサー化に向けた取り組みを進めています。具体的には、STAFF STARTにおいてトップクラスの売上を誇るスタッフに対して、ほかのスタッフの育成や、新たなチャレンジの機会などを作ろうとしています。こうした仕組みを設け、スタッフにとっての「憧れ」を作ることで、明確な目標とモチベーションのアップにやり、EC売上の拡大を図りたいと考えています。
永島氏:ひとつは先ほど説明した、売上トップスタッフのインフルエンサー化に向けた取り組みを進めることです。そしてもうひとつは、STAFF STARTの投稿から来店を促す導線の強化です。実際に、STAFF STARTをきっかけに、店舗での購入つながった場合に、そのスタッフを評価するような仕組みも整えたいです。
八木氏:次のターゲットとしてシンガポールを候補に検討しています。シンガポールはアジアのハブであることと、直営店舗が10店舗ほどあり、運用やオペレーションの面でも取り組みやすく、導入に向けた準備を進めていければと思います。
カシオマーケティングアドバンス株式会社 第二営業部 ブランドストア第一推進室 マーチャンタイザー
岡田 恒久氏
2009年、現カシオマーケティングアドバンス入社。直営店舗のアウトレット、プロパーにて販売経験後、2021年より本社へ異動、現在に至る
カシオマーケティングアドバンス株式会社 事業戦略室 リーダー
伊藤成哉氏
2012年、カシオ計算機入社。コーポレートサイトのグローバル基盤構築、運営経験を経て、2019年からはカシオマーケティングアドバンス株式会社に異動し直営ECサイトの構築、運営に携わる。現在はSTAFF STARTを始めとするECと店舗とのサービスの融合の企画開発を行う。
カシオ計算機株式会社 海外営業統轄部 時計部 推進一課 課長
八木太陽氏
1992年、カシオ計算機入社。以来、海外の時計業務にかかわる。1996〜2000年に中国、広州に、2007〜2011年にドイツ駐在。本社帰任後、新興国エリアの販売計画の立案と販社の業務のサポートを行う。
カシオ計算機株式会社 海外営業統轄部 時計推進部 UX開発室
永島寿和氏
2004年、現カシオマーケティングアドバンス入社。量販店舗にて販売経験後、2012年にカシオ計算機に出向、現在は国内での販売経験を活かし、海外の直営店販売員の人材育成や店舗・売場構築に従事する。
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