STAFF START
ケース December 6, 2021

三越伊勢丹、STAFF START導入後、CVR、客単価ともに約1.6倍に!  急伸の背景にある、店舗スタッフの投稿モチベーションを上げる独自の仕組みとは

株式会社三越伊勢丹 上林大悟さん、田代径大さん、森田慶仁 さん
百貨店ならではのオンライン接客を目指し、2021年4月から「STAFF START」を活用する三越伊勢丹。レディース、メンズ、インテリアの約8万品目を対象にブランドの垣根を超えた総合的なコーディネート提案を行っています。CVR、客単価ともに、従来の三越伊勢丹オンラインストア売上の約1.6倍と成果を出しているコーディネート投稿。店舗スタッフによる自発的な投稿を後押しする仕組みの構築から、顧客体験の向上に取り組む三越伊勢丹の3名にお話を聞きました。

STAFF START経由のCVR、客単価が約1.6倍に

―STAFF STARTを導入いただいた背景を教えてください。
上林氏:お客さまの関心が高いコーディネート提案をオンラインでも充実させる狙いがありました。衣料品以外のカテゴリーやフロアをまたいだコーディネート投稿により、百貨店ならではの提案をしたいと考えました。弊社では、これまでもコーディネート投稿ツールを導入していましたが、2020年のオンラインサイトリニューアルを機に見直しを行い、STAFF STARTにリプレイスしました。
そのタイミングから、自ら手を挙げた伊勢丹新宿店の販売スタッフ約300人がコーディネート投稿に参加しています。

―実際にSTAFF STARTを使ってみた印象はどうですか。
上林氏:システムの導入から運用まで迅速に対応いただけているのはもちろん、コンテンツ別、売り場別、スタッフ別に分けて実績を可視化できる点がこれまでとの大きな違いだと思います。数値的にも、取り組み開始から約3週間で成果が現れ、コーディネート投稿経由のCVRがオンラインストアの通常投稿と比べて約1.8倍を記録しました。さらにコーディネート投稿から直接オンラインストアにて約20万円のコートが売れるといった好事例も生まれています。

田代氏:業界の動きとしてオンライン接客強化の流れが強まる中、STAFF STARTの導入を通じ店舗スタッフのDXが加速できたのは大きなポイントになりました。

上林氏:購買体験がデジタルに移行する中で、お客さまのニーズに応える機能を整えることができたと思います。

―5秒の3Dスキャナーで簡単に体型データを可視化し、計測結果をもとに最適な洋服のコンサルティング接客「マッチパレット」をはじめ、「骨格スタイル分析」「パーソナルカラー診断」といった自社サービスと組み合わせた提案も御社ならではです。一度店舗で診断を受けていれば、自身の診断結果により近い店舗スタッフのコーディネートを参考にして買い物を楽しめます。オンライン接客において、お客さまの共感を得るために心掛けていることはありますか。

田代氏:万人に受けるコンテンツというものは難しく、ターゲットを明確にした投稿が、お客さまの心に響き、購買につながると考えています。店舗スタッフは、どういったニーズをお持ちのお客さまのためのコーディネート投稿なのかを意識して投稿してくれています。顧客基点が重要になるのは、ファッションだけでなくインテリアも同じです。

―導入して5か月経った現在の実績状況についても教えてください。
田代氏:数値面ではコーディネート投稿経由のCVRが約1.6倍に、客単価や商品単価も約1.6倍に伸びるなど、安定した実績を出せるようになっています。

森田氏:商品詳細ページでのコーディネート投稿は、導入までのスピードを重視するためローンチ時には行っていなかったのですが、今年6月から表示されるようになりました。そこから効果がより顕著に現れたと思います。

STAFF START経由の商品売上も好調。快進撃の裏側

―導入後すぐに成果が出たのは、なぜでしょうか。店舗スタッフの研修や教育面での工夫がありましたら教えてください。
田代氏:弊社はショップ毎にInstagramを活用している経緯があるので、STAFF START導入後も、コーディネート投稿に関してはある程度スタッフに任せる形でスタートしました。

ただ、いざ投稿を始めてみるとInstagramとの違いに戸惑うケースもあり、途中で方針転換して、お客さまの傾向を踏まえ写真の撮り方やテキストの書き方など、TIPSという形で細かな点まで共有できるツールや機会を設けるようにしました。最近は、店舗スタッフの間にもTIPSを守ることが結果につながるという認識が広まり、好循環が生まれています。

一方、インテリア部門は導入前から2ヵ月ほどかけ、どういった内容ならばお客さまに喜んでいただけるか投稿内容のシミュレーションやディスカッションを重ねました。事前の研修によって、担当者が具体的な投稿イメージを持った状態でスタートを切れたのは大きかったです。CVRの高まる投稿時間帯や掲載順序の検討を自発的に進めてくれる担当者もいて、こちらも驚くほど知見をためてくれています。

―投稿ルールや基準について、差し支えのない範囲で教えていただけますか。
田代氏:ファッションに関しては、Instagramの投稿とは意味合いが違うこと、あくまでも商品が主役でありモデルは引き立て役であること、テキストはお客さまの知りたい情報を届けるための手段であることの3点を前提に、コーディネート投稿はセンスでなくスキルであり、学べば成果を出せる取り組みだと話しています。その上で、具体的なTIPSを共有しています。例えば、モデルに対してカメラを水平にセットする、カメラレンズはモデルのおへそあたりを意識する、ポージングは正面に構えず自然な動きを意識するといったことです。そのほかにも、テキストの表記統一や、1投稿あたりの掲載アイテムは最低3つ、着こなしを2パターン入れるなど投稿内容に関するルールも設けています。

インテリアでは、ルールというよりも投稿のコツをまとめた「Tips」を共有しています。タオルやブランケットなど撮り方にコツが必要で、ファッションより撮影パターンも多いため、アイテムごとにノウハウを溜めている状況です。

―投稿の仕方に関してきめ細やかなフォローをしているんですね。それ以外にも何か取り組んでいることはありますか。
田代氏:イベントや売り出しのタイミングに合わせた戦略的なコーディネート投稿を進めています。あるブランドではコーディネート投稿経由にて、1日で約2500万円を売り上げた事例もあります。全体売上の約60%がコーディネート投稿経由と、想像以上の結果に驚きました。

上林氏:コーディネート投稿はコンテンツ資産にもなっています。弊社はメディアコマースとして記事とECを融合したオンラインストアを運営していますが、なかでも、お客さまの関心が高いのがコーディネートに関する記事です。そういった記事を作るのに今までは時間をかけた作り込みが必要でしたが、STAFF STARTを導入したことで、既存のコーディネート投稿を活用できるようになりました。

成果が出ている店舗スタッフ、3つの共通項

―店舗スタッフの方のモチベーションに変化はありましたか。
田代氏:はい、店舗スタッフのモチベーションが上がったと感じています。これまでSNSなどへの投稿業務は、どれくらいの成果につながっているか見えにくい部分がありました。それが数値として可視化できたことが店舗スタッフを後押しし、投稿業務自体の優先度も上がっているように思います。自分の頑張りが売り上げにつながった実感が持て、嬉しいといった店舗スタッフの声も届いています。

森田氏:一連の取り組みを通じ、関わっているスタッフのITリテラシーがアップした実感があります。STAFF STARTの機能自体はシンプルですが、裏側で求められる業務は色々あります。ITシステムチームにとっても、外部サービスとのデータ連携によるシステム関連業務の構築は、工夫の連続でした。店舗スタッフだけでなく、本部や裏側のシステムを支えるスタッフにとっても、DXを進める土台作りにつながったと感じます。

田代氏:いまの視点はとても重要で、STAFF STARTの導入には部署をまたいだ様々なスタッフが関わっています。店舗スタッフだけでなくその他のメンバーも、コーディネート投稿の実績を気にかけるようになりました。導入して終わりでなく、どうしたらもっと成果を出せるのか、「導入してからが本番」という意識を持てたのもよかったと思います。

―コーディネート投稿について、どのように目標管理していますか。
田代氏:担当ごとに投稿目標数を定めています。未達成のチームに対しては、目標クリアできるよう各チームリーダーからフォローを実施しています。
販売スタッフのモチベーションを高める一環で、月次の投稿MVP発表や好事例の共有も行っています。成果を出している店舗スタッフから意識している投稿ポイントなどをヒアリングし、それを全社に発信することによって、他のスタッフに対する波及効果を狙った取り組みです。一部のカテゴリーでは、売り上げやPV数の高い店舗スタッフに景品を贈呈するアワードも設けはじめています。まだできることは限られていますが、ゆくゆくはコーディネート投稿の実績を評価制度に反映する仕組みも検討していきたいです。

―成果が出ている店舗スタッフに共通項はありますか。
田代氏:丁寧な投稿でしょうか。お客さまが何を求めているか考え抜き、投稿し、STAFF STARTの管理画面で数値を見て改善、その3点に集約されます。それを愚直に取り組んでいる店舗スタッフが結果を出しています。

―店舗スタッフの投稿を促すために、皆さんが意識していることはありますか。
田代氏:一番は、投稿環境を整えることです。先ほど紹介したように、撮影から投稿までのきめ細かいマニュアルを用意したり、撮影しやすい場所を提案したり、我々のフォローを通じて投稿ハードルを下げること、さらに店舗スタッフに成功体験を積んでもらうことを強く意識しています。

―最後に、これから求められる百貨店の接客や取り組みの展望をお聞かせください。
田代氏:「お客さまにはこういうコーディネートがお似合いだと思います」といった店舗スタッフがリードする従来型の接客から、今後はよりお客さまお一人おひとりに寄り添った接客が求められるだろうと思います。
具体的には、お客さまのお話にしっかりと耳を傾けた上で、最適な提案をすることです。お客さまは日々さまざまな情報に触れていますから、どこまでお客さまの立場に立って有益な提案や接客ができるかが鍵になると思います。それは店頭だけでなく、オンラインであっても同じで、テキストや動画、その他のツールを含めてより良い提案をできるよう取り組みたいです。

上林大悟氏
株式会社三越伊勢丹 MD統括部 マーケティンググループ MD計画部 施策・編成計画 マネージャー
2007年株式会社三越に入社。2015年より同社のオンライン事業に参画、CRM、サイト改善、コンテンツマーケティング、各種ツール(MA、WEB接客、サイズレコメンド等)などを推進し、2019年に三越伊勢丹オンラインストアの再編プロジェクトへ。現在は三越伊勢丹オンラインストアの編成計画、両本店(伊勢丹新宿店、日本橋三越本店)の営業施策立案に従事。

田代径大氏
株式会社三越伊勢丹 オンラインクリエイショングループ メディア運営部 マネージャー
2008年株式会社伊勢丹に入社。伊勢丹新宿店メンズ館紳士靴売り場の販売や商品買付などを約10年担当し、その後はメディアの担当に。伊勢丹新宿店メンズ館のオウンドメディアであるISETAN MEN’S netの編集長を2年務め、2019年10月からは三越伊勢丹オンラインストアの再編プロジェクトチームへ。現在は三越伊勢丹のメディア関連業務を担う部門にてプランニング業務を行う。

森田慶仁氏
株式会社三越伊勢丹 情報システム統括デジタル開発部
2003年株式会社千葉三越入社。店頭販売・商品計画管理の担当を経た後、システム会社へ出向。現場とシステム担当のハブ役としてシステム企画業務に携わる。直近活動は、リニューアルした三越伊勢丹オンラインストアへのラグジュアリーブランドページの導入やサイト改善の実務対応、SNAP導入、ITベンダーと協業した店頭業務のデジタル化に取り組む。

株式会社三越伊勢丹

アパレル、インテリア、食品などの小売業および百貨店業