STAFF START
ケース August 3, 2021

【前半】パル、STAFF START導入後にEC売上700% UP!フォロワー500万人のスタッフたちが主役のEC施策とは?

株式会社パル 執行役員 堀田 覚 さん
グループ全体のEC売上高は175億円、自社ECサイトの売上成長率は140%とコロナ禍の中でも高成長を続けるパルグループ。 そこで今回は、プロモーションやEC、WEBシステム、CRM、オムニチャネルの責任者としてグループ全体のデジタル戦略を推進している株式会社パル 執行役員の堀田 覚氏にお話を聞きました。

4年間でEC売上7倍に!STAFF STARTを原動力にスタッフの実力をEC強化に活かす

―STAFF STARTの導入を決めた理由について教えてください。

僕は2014年にパルに入社したのですが、その頃すでに個人でInstagramをやっているスタッフが居たんです。中には2万人のフォロワーを抱えている人もいて。ちょうどInstagramの機運が一気に高まっている時期で、「こういうスタッフたちをもっと活かせられたらいいな」と考えていました。

というのも、この先は個人が多様な発信をしていく時代になるだろうと思っていたんです。企業やブランドのような法人のSNSも大事なのですが、「個」のコンテンツのほうがよっぽど跳ねるし刺さります。以前からそうした視点をもっていたため、オンライン接客に取り組むスタッフが居ると知って「やっぱりそうか」と思いました。

それに、ここまで自然発生的にSNSを駆使して接客をやっているスタッフがいる会社は、他にはないなとも感じて。でも、彼らが投稿しているSNS経由でお客様がECサイトを訪れているにも関わらず、そのことを可視化できていないために散発的に終わってしまっている。だからもっと数字を可視化して、評価できたらいいのではないかと感じていました。だから、STAFF STARTを導入することで彼らの頑張りを仕組み化し、もっとスタッフ個人の発信や実力を支援していきたいなと考えたんです。

STAFF STARTを入れる前は、Instagramを「売上」という形で評価する方法がないために、フォロワー数でスタッフを表彰していました。ただ、それも大事である反面、やはり企業だからもっと業績と連動した分かりやすい指標があったほうがスタッフのモチベーションが上がりますし、本部も本当に成果を出しているんだということを知ることができますよね。

フォロー数も肌感としての力にはなっているのですが、絶対的な数字かというとそうとは言い切れません。それに数万人というフォロワーが、InstagramのスタッフページからECサイトに飛んでそのまま買えるという導線があるんだから、これらをもっと仕組み化して評価したいなと思ったんですね。そこで別々に持っていたECサイトとブランドブログ、そして個人のSNSをSTAFF STARTで一元化することにしました。

約7割のお客様が、STAFF START経由でECサイトに入ってくるように

―STAFF STARTを導入してから、どんな効果や変化がありましたか?

2017年は15〜20億円だった売上額が、昨年は75億円、少なくとも約5倍になりました。今年は見込みですが約120億円。4年間で約7倍ですね。ECサイトのCV数は約5倍、PV数も約3倍にアップしています。売上の約7割がSTAFF START経由の流入です。その割合はコーディネート投稿とまとめ(*スタッフブログ)機能が4:3。ほとんどのお客様がSTAFF STARTを見て入ってきています。STAFF STARTが売上の大きな原動力になっているのは間違いありません。

STAFF STARTを通じて投稿されたコーディネートページ
まとめ(*スタッフブログ)機能を使用して投稿されたスタッフによるコンテンツ

STAFF STARTを始めた当初は、手探りのスタッフが「何のためにやっているのか分からない」と感じないように、教育制度を整えたり、やる気のあるスタッフが評価される仕組みを作ったりしていました。逃げられないぐらい色々な制度を配備しておけば、会社も人も巻き込まれていきます。じゃないとすぐ次の思いつきに走ってしまうことがあるでしょう。うまく回るようになれば、「今やっていることは正しいんだ」とみんながだんだん気づくようになる。教育、評価、ケア…、これらを全部つなげることが、僕のやるべきことだと思っていますね。

社内の意識改革には、スタッフの「教育」「評価」「ケア」が必要

―堀田さんはどんな働きかけをすることで、社内を変革させていったのでしょうか。

こちらが何もしなくても自発的にやってくれる人たちばかりに任せるわけにはいきません。そこで、まずは基本編から応用編まで章立てした、約100ページに渡るマニュアルを作成することにしました。そこで、SNS向けクリエイティブ撮影のレクチャーやアドバイス、講師活動を行っている方にアドバイザーとして入ってもらいました。

その方の研修を受けに行った時に、現場で活きる特別な内容をお話されていたので、迷わず声をかけました。自分の作りたいものが合っているのかどうか迷った時など、教育面で相談できる人がほしかったんですね。もう4~5年ほどサポートしてもらっています。

何かをスタートする時って「始めるハードル」と「続けるハードル」があるんです。だから「やってみようかな」と思ったスタッフにはマニュアルを渡したり、アドバイザーの意見を伝えるなどスタッフの教育に力を入れていました。

そして、色々な著名インスタグラマーに声をかけて講師になってもらい「デジタルカンファレンス」という名の社内講習を定期的に開催しました。講習ではこちらが知りたいことに対して、分かりやすく話してほしかったので、あえて著名人と僕の対談形式にしていました。講師の方が一方的に講義をして「あとは自分たちで考えてくださいね」としてしまうと「ふーん、すごいね〜」だけで終わってしまいます。やり方は人それぞれですし、みんなが心のどこかで「あの人がすごいからできるんじゃないか?」って思っては意味がないですからね。

―マニュアルを習得して実践しているスタッフには、どんなケアをしたのでしょうか。

強く心がけていたのは、コーディネート投稿を頑張り始めたスタッフに頻繁に声をかけることです。たまたまスタッフが撮影している場面に立ち合ったら「あの時の、あの投稿がすごく良かったよ!」と、きちんと言葉にして伝える。また別の場面では、ブランド長などに「●●店の●●さんの投稿、すごく良かったから伝えてあげて」と話します。するとスタッフや店舗だけでなく、ブランド長も喜んでくれますよね。

頑張っているスタッフに対して、本部の人たちがいかにケアをするか。ついブランドごとのパワーバランスが気になって、思ってもなかなか言葉にできていない時もあるのですが、あえて名指しで褒めると、本人のやる気がすごく引き出されることがあります。だから「この投稿が良いな」と思ったら、ちゃんと声に出すことを意識していますね。

―本部がスタッフに見せる「姿勢」も大事なんですね。

そうすることで、会社が「逃げていない」という覚悟が伝わりますよね。最初はスタッフも「何かやってるな」程度にしか感じないかも知れませんが、教育がその場限りで終わらないように基本形となるマニュアルがあって、常にそこに戻れるようにしておくこと。そして評価を会社の文化にして、組織内に浸透させること。最後に、スタッフへのケアを欠かさないこと。これらの3つの仕組みを作って、継続して、手応えが感じられたら、当たり前に自走していく空気になります。

また、店長会議やブランド会議でも、SNSをテーマに話す時間をもつことをおすすめします。1日6〜7時間の会議をやるなら、30分でも1時間でも議論することがすごく大事。もしコーディネート投稿についての議題が上がらなければ、スタッフに「重要じゃないんだ」と思わせてしまいます。良い投稿があったり、良い数字が出たりしたら、ちゃんと話題にする組織づくりをしましょう。

会議で少しでも触れられたら「あなたすごいね」というやり取りが起きるわけです。すると「私、見られているんだ!」と、僕が言うよりももっと強い力が働きます。それが組織として当たり前にならなければ、やっぱり強さは出てこない。単に「やりたい人がやっているだけのもの」となってしまいますから。

これからは個の時代。個人の頑張りを伸ばすことが本社の役割

―スタッフさんの合計フォロワー数は500万人、業界随一の発信力ですよね。個々の力を引き出すための秘訣を教えてください。

良い事例や良い数字を、きちんとみんなに伝えていくことですね。どのスタッフも活路を見出すために必死なんです。だからこそ「成果が出たのはこういうポイントを押さえていたから」と言い切ってあげる。もちろん「私にもできそう」と思ってもらえる再現性の高いポイントであることが前提ですよ。

近年は働き方改革や副業を含めて「個人がどうあるべきか?」という時代になってきました。個人がフォーカスされる中で、個性や強みを磨く手段は様々です。売り場の販売員を極めるのもよし、ディスプレイのスキルを上げるのもよし。その人が得意なことをどんどん突き詰めていったら良い。そんな個人の頑張りを評価したり、伸ばしていったりすることが本社のあり方だと思っています。SNSもその一環ですし、評価の仕方もしかりです。

中にはInstagramで5.8万フォロワーをもつ人気スタッフも

最後に、スタッフは良い意味で「お客様と距離の近い御用聞き」のような存在になるのが理想ではないかと考えています。デジタル上でもリアル店舗でもそのような距離感で、お客様にスタッフ一人ひとりの多彩な個性を面白いな、素敵だな、話を聞きたいなと思っていただけたら良いなと感じていただく。個性が突き抜けていて「私ってすごいでしょ?」と見せつけるようなとっつきにくい人よりも、お客様に面白がってもらえる存在になってほしいんです。お互い生身の人間ですから、やっぱり顧客接点は面白くないと。そのほうがスタッフたちもハッピーですよね。会社としても、昔みたいに一様に管理してトップダウンでなければ組織の統制が取れないというよりは、面白い個性が集まった集団のほうが強いと思っています。

後半につづく)

堀田 覚氏
株式会社パル 執行役員 プロモーション推進部 部長 兼 コミュニケーションデザイン室 室長 兼 WEB事業推進室 室長

新卒でアパレル企業で店舗運営、MD、ブランド責任者等を歴任した後、雑誌社のメディアコマースサイトの立ち上げに参画しMDとマーケティングの責任者を行う。2014年よりパルに入社し、PR、EC、オムニチャネル、CRM等コミュニケーションとデジタル部門の統括を行う。

株式会社パル

婦人服・紳士服・雑貨等の企画・製造及び卸し・小売