―雑貨業界で初のSTAFF START導入、ありがとうございます!導入に至った経緯を教えてください。
2020年1月に開催された東京ビックサイトの展示会で、小野里さんとストライプインターナショナルさんの対談セミナーを聞いたことがきっかけです。セミナーではアパレルの事例が紹介されていく中で、コーディネートという考え方がすごく魅力的に感じたのを覚えていますね。その後、すぐに小野里さんと会う機会を持ちました。この「コーディネート」はアパレルだけでなく、どの業種にも存在しているんです。小野里さんも「STAFF STARTが雑貨やインテリアでも使えたら面白いよね」とおっしゃっていましたが、これからコーディネートの概念はどの業種でも作られていくことでしょう。僕らはその雑貨業界代表になりたかったんです。
そして1年2ヶ月後にECサイトをリニューアルするタイミングで、待望のSTAFF STARTを入れることになりました。自社ECサイトは2018年からスタートしていたんですが、2年ぐらいは全然売れなくて。ECサイトに対しての評価でとくに気になったのが「店舗ってあんなに楽しい場所なのに、ECサイトは質素というかつまらない」という声だったんですね。それも大きな課題に感じていました。
―STAFF START導入後、売上やCVRの状況はいかがでしょうか。コロナ禍の運営で店頭はどのような状況でしょうか。
現在は、ECサイト内の「AWESOME STYLING」に、スタッフが雑貨のコーディネート写真を投稿しています。導入後は売上が前年の3倍アップ、CV率も常に1.0%を超えている状況です。STAFF STARTの効果はすごく実感していますね。念願叶って入れられたシステムではありますが、我々の期待を超えるぐらいスタッフの反応を得られています。そして、社内で一番売れていない店だったのが、一番売れている店に成長しました。
ECサイトには「visumo(ビジュモ)」で、お客様のInstagram投稿をピックアップするUGC収集的なコンテンツや、STAFF STARTのスタッフから情報を発信するB2Cコンテンツを置いており、一つの商品ページでかなりの情報量を実現できています。これは「オウンドメディアの確立」をテーマにしてECサイトを作ってきた成果ですね。店頭でもオンライン上でも、お客様が商品一つひとつをとにかく理解しやすいという状態が生まれています。その結果、おのずと売上にもつながっている。そのあたりがとくに大きな変化ですね。
そして今、東京・渋谷の「AWESOME STORE TOKYO」の出店をきっかけに露出度が高まっているので、AWESOME STOREを知ってもらえる機会も増えているんです。そこから入ってきてくれたお客様が、今のECサイトを見て「AWESOME STOREって使いやすいところだな」「コンテンツが豊富で楽しいところだな」と言ってくださる。STAFF STARTを導入したことで、色々な店舗のスタッフがECサイトという“第2の店舗”にヘルプに来て、サイトを盛り上げてくれている感覚なんです。スタッフがオンライン接客を行うことで、お客様で賑わっているサイトに育っていますし、今では自信を持ってECサイトも店舗と同じくらい楽しい場所だといえます。
緊急事態宣言が出て時短や休業をした店舗もあったのですが、売上がそこまで大幅に落ちたという印象はありません。2年前と比べても、もし休業していなければ目標達成できたといえるくらい成長しています。売上も集客数も横ばいに推移しているので、こんな状況にも関わらずお客様に来ていただいているなという感覚があります。
―サイトや店舗が賑わっているだけでなく、Instagramも盛り上がっていますね。
Instagramのフォロワー数はここ3〜4ヶ月で1.5万人ほど増えて5万人弱。どの企業でも「ファンづくり」が大きな課題とされていますが、僕らは同じ業界の企業と競い合うという感覚はないんです。ただ雑貨業界全体がもっと盛り上がれば良いなと。雑貨好きの人が増えた先に、選択肢のひとつとしてAWESOME STOREを入れていただけたら嬉しい。だから僕らは「集団で面白いことをやっていこう!」という考え方なんです。AWESOME STOREが頑張ってファンをつくることで、もっと雑貨好きが生まれたらいいなと思っています。
―投稿するにあたって感じたハードルや、スタッフさんの反応はありましたか?
STAFF STARTを入れたことによって、スタッフにとってのECサイトの立ち位置が変わりましたね。それまでは、他の多くの企業と同じように「ECの売上が上がったら、店舗の売上が下がってしまう」と言われてしまい、ECに注力したくても店舗のみんなが協力的ではなかったんです。でも本来は店舗であれECであれ、お客様の最終的な購買の選択肢でしかないのですから、どちらで購入いただいても良いですよね。その価値観を会社全体でも共有していく必要があると感じていました。
そこで最近よく伝えているのは、ECは、スタッフのみんなが所属する店舗以外に接客できる“第2の店舗”だということ。スタッフが店舗に出勤して働いている時は、目の前のお客様に接客を行って売上をつくっているけれど、自分が帰宅して寝ている時や休んでいる時にも、実はECで売上が立っている。ということは、スタッフが店舗とECを兼任しているようなものですよね。「2店舗兼任」という考え方になると、スタッフも「それならECで売れても良いよね」という感覚になります。販売員である以上、STAFF STARTで商品が売れていく感覚ってみんな嬉しいんです。この考え方に共感してくれるスタッフはSTAFF STARTも頑張るし、おのずとECの売上に貢献してくれます。もっとこの考え方を社内に浸透させていきたいですね。
―投稿する上でスタッフさんに伝えたルールはあったのでしょうか。
まずは「何でも良いから投稿しようよ」というところから始めました。「あなたが店舗のInstagram担当だよ」と言われた感覚になってもらって、それ以上は何も制限をかけなかったんですね。唯一、スクエアサイズで画像を統一したいというのが僕らの希望だったので、スタッフには「正方形で上げてください」とだけ伝えました。投稿は僕が一つひとつ確認していますが、ほぼ100%承認しています。
面白いことに、反響が良い投稿を上げたスタッフについて聞くと「主婦さんです」「バイトの学生さんです」など、意外と店長や副店長以外のスタッフも活躍していることがわかりました。スマートフォン慣れしている若いスタッフは、日常でECサイトを活用しているからコーディネートがどういうものかが分かっているんですね。それに家事に慣れている主婦さんは「お掃除グッズの活用術」など、商品の暮らしへの取り入れ方を熟知していることも多いんです。だから、どのスタッフが投稿しても問題ないんだなと思いました。
―スタッフさんのほうも投稿への意識が高まっているんですね。
運用を始めてまだ4ヶ月の段階ですが、投稿するスタッフの比率はどんどん上がっています。仕組みが徐々に浸透してきている証拠ではないでしょうか。月に1,000投稿を目標としているのですが、6月は1,000投稿を突破しました。あっという間に1万投稿が目前になるだろうなと予想しています。
月に1回開催している朝礼では、STAFF STARTで何名のスタッフが投稿していて、売上はどうだったかといった数字を共有するようになりました。そして、良い投稿や売上につながった投稿をしたスタッフを「今月輝いたスタッフさん」として表彰しています。アワードはスタッフの反応を見ながら、さらに変化させていきたいと考えています。スタッフのみんなも割とサイトを見ているようで「あの投稿が良かったよね」「あのコメントが面白かったよね」という会話が日常で起きています。
さらに、スタッフごとのランキングやストアランキングを記載した「マンスリーニュース」を配信。ニュースの中には「ワンポイントアドバイス」コーナーを設けて、店長会などで挙がった疑問点に対する解説をしています。これができるのは、店舗だけでなく本社スタッフも投稿を頑張っているからなんですよ。ランキングには本社のメンバーの名前も入っているので、店舗の人たちの間で「本社に勝ちたい!」と競争心が芽生えているようですね。互いに切磋琢磨する環境が生まれています。
―初の雑貨ブランド✕STAFF STARTにおける課題はありましたか?また、堀口さんが「クオリティが高い」と思う投稿の特徴を教えてください。
アパレル業界だと1つの洋服の写真を撮ったとしても、スタッフの体型や骨格によってバリエーションに違いが出せますよね。その一方で、雑貨のSTAFF STARTは「人が写らない」。だから、投稿ハードルが低い分、一つひとつの写真が似てきてしまうんです。でも写真のクオリティは、みんな確実に上がっています。最近では実際に家で使っているシーンで表現するなど、理想形に近づいてきました。
ちなみに企業側がビジュアルを作り込むと、ブランディングを意識して生活感のないものばかりができてしまうんです。そういったビジュアルをブランドのメッセージとして発信することも大切ですが、お客様の目線に立てば、もっとリアルな様子が知りたいと思うのではないでしょうか。約700名のスタッフは、全員が写真映えする洗練された暮らしをしているわけではありません。だからこそ、より日常の暮らしに根付いた発信が強みだと思っています。
クオリティの高い投稿のほとんどは、店頭以外の場所で撮影されています。仮に店内で撮っていたとしても、クオリティが断然違います。自分が実際に使っていて大好きな商品を「お客様に届けたいんだ!」という熱いメッセージが感じられるんです。AWESOME STOREが好きで、商品が好きなスタッフのオタク度が表れていますよね。ひとつの商品でも色々なバリエーションの見せ方が可能です。商品を使って独創的なアート作品を作っている人もいれば、生活に寄り添った見せ方をする人、ディスプレイを表現している人もいます。どれも商品のポイントを押さえていて、まさに個性あふれるスタイリング。それにコメントひとつとっても、レベルが異なりますよね。クオリティの高い投稿は、見ているお客様もワクワクしますし「この投稿が素敵だな」って感じたファンが付いてくれるでしょう。
最近の投稿の中でのイチオシは、町田店のスタッフ「suu_.」さん。たとえば夏の人気商品「原宿ソーメン」の投稿では、涼しげなマーブルプレートにくるくると盛り付けて、オクラやミニトマトなどの“映える”トッピングを添えています。味付けのポイントや食感はコメントで分かりやすく紹介しているので、思わず食べたくなりますよね。他にもバンダナの商品でティッシュBOXカバーを作るhow toを紹介してくれたことも。そのアイデアのバトンを受け取って、本社スタッフが作り方を15秒のリール動画にまとめて発信したこともありました。
―商品を輝かせるスタッフのアイデアが、次の仕掛けにつながっているんですね。
ちなみにPV数の高いスタッフは「この人のスタイリングを見る」のボタンもクリックされています。商品ページから投稿を見たことがきっかけで、投稿したスタッフのスタイリングも見てくれているという導線です。こうした売上も、投稿したスタッフの売上としてカウントされています。AWESOME STOREは1点ごとの単価が安いので、直接売上だけを引っ張ってきてしまうと、店舗での買い物体験らしくならないんです。ひとつの商品が来店のきっかけだったとしても、付随して色々な商品を買ってくれるのがAWESOME STOREらしい買い物体験。だから間接売上という指標もすごく重要視しています。
最近では「AWESOME STOREを知ってもらえさえすればみんな好きになってくれるし、ファンになってもらえるものなんだ」というのが社内の合言葉のようになっていて、それがスタッフのモチベーションになっています。その中でSTAFF STARTはAWESOME STOREをアピールする大事な機会のひとつ。雑貨業界のみなさんがSTAFF STARTを活用したいなと思ってくれるような良い事例になれたらと思います。
―6月からはSNS番組で新たなコンテンツもスタートしたんですね。
SNS番組「オーサムチャンネル」にて、吉本興業に所属する「雑貨大好き芸人」の方々が、AWESOME STOREで商品化を目指す番組『よしもと芸人の AWESOME STORE商品化への道』がスタートしました。企画立案から開発、販売までの道のりをラジオテイストな内容でお送りしています。「お笑い✕雑貨」の異色コラボレーションから生まれた、新たなエンターテインメントとして楽しんでいただきたいですね。オーサムチャンネルでは、他にも商品紹介やワークショップなども配信しているので、そちらもぜひチェックしてみてください。
堀口 周作氏
オーサム株式会社専務取締役
2017年2月 株式会社レプレゼント(現オーサム株式会社)入社。AWESOME STOREの出店拡大や、カフェ事業の立上げに取り組む。PRやEC事業なども統括しており、2021年3月にECサイトとアプリの大幅リニューアルを主導。現在は更なるAWESOME STORE独自のOMO推進を含め、店舗とECを横断した事業全体をリードしている。
生活雑貨、インテリア、服飾雑貨の製造及び輸入販売