萩原氏:エンドユーザー向けの自社ECは、商品概要などカタログ的な情報が中心で、実際の着用感やサイズ感など商品イメージのわかる情報に乏しく、顧客エンゲージメントに課題を抱えていました。新商品の発売タイミングは年2回に限られ、商品点数が多いわけではありません。そういった中でも、常に新鮮でお客様に魅力を感じていただけるコンテンツを届け、EC事業を伸ばすための手立てを考える必要がありました。
萩原氏:コロナ禍によって店舗スタッフ業務のデジタル化が求められていたことや、競合企業のECサイトでもスタッフのスタイリング投稿を見かけるようになり、2022年に入ってSTAFF STARTをはじめとしたツール導入の検討を始めました。
ただ、実際に運用するとなると、ECチームだけで完結できるものでなく、店舗側の協力が不可欠です。ノウハウが全くない状態でツールだけ導入しても、店舗側の運用導入を上手く進められないのではないかと感じていました。その点、STAFF STARTはツールの使い勝手の良さはもちろん、豊富な実績があり、導入や運用のノウハウを提供してもらえるのが魅力で、オムニチャネルを推進するうえで、ECと店舗が共同して取り組むのに最適なツールだと考えました。また、営業担当者に相談にのってもらうなどサポート力の高さを商談時から実感できたことも、導入の後押しになりました。
萩原氏:アパレル商品が中心ですが販売実績は前年比16%増と好調に推移しています。当社では、「SNAP PLAY」投稿に加え「スタッフレビュー」投稿も行っていますが、2つあわせた全体の投稿数は160件(2023年7月時点)ほどです。導入前と比べて、PV数やUU数、滞在時間などにも改善が見られ、ECサイト全体の魅力アップや、若年層や女性のお客様の開拓に奏功しています。初年度の今年はベンチマークがなくKPIを設けていませんが、来年度以降は今年度の販売実績をもとに具体的なKPIを設定し運用にあたりたいと考えています。
鷹巣氏:店舗の導入状況に関しても全26店舗のうち15店舗への導入が完了しています。STAFF STARTのアカウント登録者数は120名を超えています。
テーラーメイド ゴルフのスナップ一覧を見る
萩原氏:限定商品の投稿は大きな反響がありました。例えば、世界的なゴルフ大会にちなんだ限定商品を扱う「メジャーシリーズ」というコレクションを一部店舗とECで取り扱っているのですが、その新商品をスタッフがいち早くスタイリングして投稿で取り上げたところ、商品があっという間に完売してしまいました。完売後も店舗に電話が鳴りやまないほどの問い合わせが来るほどで、反響が大きく、取り組んでよかったと思いました。
また、当初スタイリング中心の投稿を想定していましたが、店舗スタッフがウェア以外のアクセサリーやキャディバッグも積極的にスタイリングして投稿で取り上げてくれることもあり、キャディバックや小物類なども購入に繋がっています。やはり投稿数の多いスタッフは成果が出やすい傾向があると感じます。
萩原氏:ゴルフは性別や世代に関係なく親しまれており、アパレルブランドのように世代を区切るのでなく、幅広い層のお客様を対象としています。店舗スタッフも若手からベテランまで幅広く活躍しており、ゴルフ好きが高じて定年後に弊社店舗で働くシニアスタッフも増えています。そういった多様なスタッフがSTAFF STARTの投稿に参画しているのが当社ならではの特徴でしょう。
ベテランやシニアのスタッフも導入初期から投稿に参加してくれており、成果に繋がっています。お客様にとっても、同年代のスタッフが推奨するアイテムやスタイリング情報は、商品選びの大事な参考情報です。
さらに、会社としても従業員の新たな働き方を提示するきっかけにもなります。スタッフ一人ひとりの頑張りを評価できるように人事部と連携して、店舗の人事評価や給料システムと連動した仕組みづくりも将来的に行っていきたいと考えています。
実際に売上実績が高いスナップ投稿を見る
鷹巣氏:準備期間中は、STAFF STARTのカスタマーサクセスチームから得たノウハウを参考にしながら、運用や撮影方法を具現化していきました。本部のエリアマネージャーにも試験投稿に協力してもらい、その後、2023年1月末から本格的に運用をスタート。試験投稿時にアップした投稿をお手本とする形で、各店舗のスタッフが投稿できるよう体制と仕組みを整えました。
萩原氏:導入当初から、ECチームだけで動くのではなく、鷹巣をはじめ店舗運営部署と連携して進めることで、店舗とのコミュニケーションが円滑に行えていると感じます。上長の理解があり、折に触れて店舗スタッフ向けに、取り組みの目的や投稿を促すメッセージを送ってくれているのもスムーズな運用の後押しになっています。
鷹巣氏:まずは投稿数を増やすことを第一段階の目標としたため、細かなルールを設けることはしませんでした。商品選定や投稿内容も、投稿するスタッフ各自に任せています。一方で、少しでも楽に投稿できるように、基本のフォーマットを作成。テンプレートに沿ってテキストを書くだけで投稿できるよう環境を整えました。一方で、SNS投稿に慣れている若いスタッフからは「もっとこういった投稿をしてみたい」といった意見をもらうこともあり、テンプレートに沿った投稿以外も自由に投稿するように推奨しています。
萩原氏:スナップ投稿以外のレビュー投稿は、プロダクト(フットウエア)限定としており、取り扱い店舗も銀座に限定されるため本部が主体となり運用しています。本部スタッフの多くはゴルフを愛好するメンバーでもあり、ゴルファー目線での投稿を促しています。
鷹巣氏:店舗状況に応じて、店長が投稿作成時間をあらかじめシフトに組み込めるようにしているほかほ、業務の合間を利用して撮影をしてもらっています。
萩原氏:当社はゴルフ部という部活動が存在しており、店舗スタッフはもちろん、社員の9割が参画しています。福利厚生の一環で、会社から活動の一部に補助費用が出るといった取り組みですが、ゴルフ部の活動でゴルフ場を訪れた際にも、スナップ投稿の撮影を行っています。店舗内にも人工芝を敷いたコーナーがあり撮影はできますが、ゴルフ場で撮影した方がよりリアルな使用感が伝わりコンテンツとしての魅力度は増します。レビュー投稿に関しても、実際にを使ってみなければ商品の魅力を投稿で伝えることは難しく、ゴルフ部の活動を通じてスタッフが実際に商品を使いながら、それを投稿に反映しています。
鷹巣氏:本部側からは、投稿の好事例を店長に共有したり、メールで店舗スタッフに対して一斉共有することで、投稿に対する理解と参加意識を高める工夫をしています。
運用開始直後は、新商品発売のタイミングと重なっていたこともあり積極的に投稿してくれていたのですが、そひと段落して投稿数の減少傾向が見られました。そこで、投稿のきっかけ作りとして、新たに「スナップ投稿コンテスト」を企画しているところです。詳細はこれから固めるところですが、店長投票上位者、特別表彰者など幅広く表彰を行い、投稿の活性化を図りたいと考えています。表彰対象者には景品もプレゼントする予定です。
萩原氏:当社が運営する全店舗のうち20店舗ほどがアウトレット店舗だったのですが、2022年半ばから、アウトレット店舗にも正規商品を置き店舗のハイブリッド化を徐々に進めています。そういった中でも、店舗でSTAFF STARTをスムーズに運用できるよう、協力関係を築き活動の裾野を広げていければと考えています。理想は、店舗に従事する全スタッフに投稿してもらえるようになることです。
萩原氏:個人的には女性向けの投稿がもっと増えるといいなと思っています。ゴルフ人口は男性7割、女性3割ほどということもあり、女性向けのゴルフ情報は限られます。こうした中、女性向けのゴルフ装備のスタイリング紹介やレビューなどを発信していくことは、付加価値の高い情報提供に繋がり、他社との差別化を図れるのではと考えています。実際に、キャディバッグでも軽いか、持ちやすいか、車に積みやすいのか、収納ポケットは便利かなど、女性の立場から見た商品特性を反映した情報はニーズが高い傾向があります。実際に担いだ際のスタイリングや車内に置いた時のサイズ感なども、画像とコメントを併せて伝えていくことで、ECサイトの利便性や買いやすさを向上できると思います。
鷹巣氏:リテール店舗向けの情報を充実させるため、自社アプリにスナップ投稿の専用ページを用意して、アプリ内の情報発信にも投稿を活用していく予定です。8月に実装できるよう準備を進めているところです。
萩原氏:新商品発売のタイミング以外にも、新鮮で常に発見のある情報をお客様に届けるため、STAFF STARTの投稿を活用していく考えです。今検討しているのは、他媒体に掲載するバナーへの二次利用です。スナップ投稿を動的に表示することで、お客様の興味・関心を喚起し、ECサイトに訪問するきかっけを作る狙いがあります。自社ECサイトはもちろんのこと、スタッフの投稿を様々なタッチポイントで活用していければと考えています。
テーラーメイド ゴルフ株式会社
コンシューマ・ダイレクト シニアマネージャー
萩原 朋之氏
1989年に新卒入社。営業部門、リテール部門を経験して2013年からEC部門を担当する。
ECモールへの新規出店や各種ツールの導入などを経験し、現在はEC部門の責任者としてチーム全体の統括を行う。
テーラーメイド ゴルフ株式会社
リテールビジネスプランニング
シニアスペシャリスト
鷹巣 いづみ氏
2012年に入社。店舗勤務の後、昨年本部に異動。現在は直営店の販促を担当。
スタッフコーディネートの投稿管理・運用を担当。
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