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セミナーレポート July 25, 2022

【セミナーレポート】AWESOME STORE 堀口氏に聞く!30万人のファンを‟沼化”するECサイトの秘訣

おしゃれでかわいい雑貨が揃う「AWESOME STORE(オーサムストア)」。昨年は、STAFF STARTやレコメンドエンジンの導入などECサイトの大幅なリニューアルを行い、OMO戦略型のECサイトとして売上を伸ばしています。今回は、そんなAWESOME STOREでOMO推進をリードするオーサム株式会社 専務取締役 堀口周作氏を迎え、レコメンドエンジンを提供するシルバーエッグ・テクノロジー株式会社 マーケティング部 シニアマネージャー園田真悟氏と、STAFF STARTを提供する株式会社バニッシュ・スタンダード Head of Sales 薄井崇史 が、AWESOME STOREのEC戦略に迫りました。

Part 1 :「AWESOME STORE」のEC戦略:1年で何を成し遂げたか

つい買いたくなる!おしゃれな雑貨が揃うヒミツとは


堀口氏:AWESOME STOREは、“遊び心”を提案するライフスタイルショップです。現在、全国65店舗と自社ECサイトを運営しています。

立ち上げから8年でここまで成長できたのは、多くのお客様がブランドの世界観やビジョンに共感し“ファン化”しているからに他なりません。そしてこのファン化には、当社のビジネスモデルが大きく関係しています。

当社は、アパレル業界と馴染みの深いSPA(製造小売業)と呼ばれるビジネスモデルを採用しています。時代のニーズやAWESOME STOREのコンセプトブランドをもとに商品企画チームがアイディアをまとめ、それを当社の強みであるデザイナーチームが具現化し、最終的な販売まですべての工程を一貫して手掛けています。

園田氏:アメリカンテイストの雑貨を販売するセレクトショップだと思っていましたが、SPAを採用して、全ての商品開発を自社で行っているんですね。ファンを魅了する商品を開発し、たった8年で65店舗。成長の勢いを感じます。

AWESOME STOREらしさを追求したECサイトの構築

堀口氏:自社ECサイトは、創業から4年が経過した2018年3月に運用をスタートしました。昨年にはECサイトとアプリの大幅なリニューアルを行い、現在に至るまで進化を続けています。そのリニューアルの際に導入したのが、「STAFF START」と「アイジェント・レコメンダー」です。

園田氏:最近ではオンラインモールを利用するブランドも多いですが、自社ドメインのサイトで運営されている点には理由があるのでしょうか。

堀口氏:SPAのビジネスモデルを採用し、AWESOME STOREのブランドを表現してきたなかで、ECサイトも同様に、徹底的にAWESOME STOREらしさを追求したいと思いました。オンラインモールも選択肢のひとつにありますが、自社ECサイトの方がブランドイメージや世界観を表現しやすいため、いまは自社サイトに注力しています。

我々のECサイトでは、大きく4つのコンテンツを展開しています。ひとつはSTAFF STARTの機能を活用したコーディネート投稿の「AWESOME STYLING」。また重要な情報源であるUGC(ユーザー生成コンテンツ)として、「AWESOME PHOTO」と「REVIEW」。そして、よりパーソナライズされた商品提案を行うべく、アイジェント・レコメンダーの機能を活用した「RECOMMEND」ページです。

園田氏:STAFF STARTの機能を活用されている「AWESOME STYLING」は、店舗のイメージに近い世界観を表現できているように感じています。

薄井:導入にあたっては、STAFF START を用いながらブランドらしさをどう演出するかについて、弊社もサポートさせていただきました。AWESOME STOREさんの場合は皆さんの意思や熱意が強く、そのおかげもあってブランドイメージを体現できるページが実現したと思います。

EC売上アップのカギは「知りたい」「知る」戦略


園田氏:ECサイトのリニューアルから現在1年3ヶ月ですが、目指した目標や現在の到達度はいかがでしょうか。

堀口氏:そもそもリニューアルのきっかけには大きな課題の存在がありました。コロナ禍で多くの店舗や企業でそうだったように、当社も実店舗での集客が難しくなりました。ECサイトに頼るしかない状況のなか、当時の売上では目指す水準に達しなかったため、打開策としてECサイトの大幅リニューアルに踏み切りました。

ECサイトのKPIには売上高をおいていますが、ビジネスモデルの性質上、それはすなわちKGIにもなりえます。KGIをどうブレイクダウンし、売上を立てるためのKPIをどう定義づけるべきか。ECサイトリニューアルそのものが、そういった議論の中で進められました。

実店舗にせよECにせよ、商品が売れることが最重要目標だとすれば、ECでしかできない領域は何か。ありとあらゆる情報が集まることこそ、ECならではの価値だと結論付けた我々は、「知りたい」・「知る」戦略と銘打ってサイト構築を進めました。商品売買の一歩手前で、まずこのECサイトにいけば情報が得られる、という役割を担わせることにしたのです。

この戦略のもと展開した豊富な情報量がカギとなり、リニューアル以降、会員数は順調に推移し現在30万人を突破しています。ECサイトの売上も大きく伸長しているところです。

PART 2 : スタッフ戦略 実店舗を巻き込む仕組み

店舗が抱えるECアレルギーこそ、EC成長のボトルネック


園田氏:コロナ禍でECサイトに力を入れる店舗や企業は圧倒的に増えました。そんななか、店舗の役割がECに取って代わられたと感じて、実店舗とECサイトのスタッフ間で摩擦が生じるケースも少なくありません。御社の場合は、ECサイトと実店舗の関係性に変化は生じなかったのでしょうか。

堀口氏:そもそも私自身がこれまで実店舗経験しかなく、このプロジェクトに参画するにあたってEC運営を一から学んだ背景があります。そのため店舗が抱えるECアレルギーに対して共感ができ、一方で、それを払拭できればECの売上拡大ができるだろうという確信のようなものがありました。そこで実店舗とECをつなぐハブになるSTAFF STARTを導入して、店舗の巻き込みを図っていったという経緯があります。

STAFF STARTで全スタッフをEC運営の担い手に


堀口氏:また、ECを理解してもらう上でも、いかにスタッフに投稿を重ねてもらうかが重要だと考え、KPIには投稿数を設定しました。

さらに、投稿もスタッフ全員で進めることにしました。というのも「AWESOME STOREで働いている人は、雇用形態や個人の属性は関係なく、全員AWESOME STOREが好き」という大前提があります。ECサイトはAWESOME STOREの「好き」を発信する場でもあり、だとするなら、スタッフ全員に参加してもらえるはずだと思ったからです。

そして店舗スタッフには、実店舗とECサイトの2店舗を「兼任感覚」で参加してもらいたいと伝えました。ECサイトをライバル視するのではなく、好きなブランドにさらに貢献できる機会だと伝えて、 “ECサイトはスタッフ全員の店舗である”という価値観を共有しました。

一方、KPIは投稿数としたので、投稿についてはルール化を一切せず、自社商品が写っていればどんなクオリティであろうと投稿OKとしました。特定のテーマを設けることも、あえて一度もしませんでした。

こうした投稿環境の整備・促進により、スタッフが率先して参加してくれた結果、導入1年で15,000投稿を達成。今や全体売上の3分の1がSTAFF START経由となっています。

薄井:「兼任感覚で」というアイディアは、素晴らしいですね。OMOの課題として、実店舗とECが対立構造になりやすいところを、投稿ハードルを下げたり、うまくスタッフ側の心理に寄り添いながら運用できており、学べる部分がたくさんあるなと感じます。

量の習慣が質をつくり、投稿内容がますますブラッシュアップ


堀口氏:これまで投稿数をKPIにしてきましたが、導入から1年が経ち、現在徐々に量より質というフェーズに移行しています。

それを象徴するお話をご紹介します。導入初期からクオリティの高い投稿をしてくれるスタッフがいるのですが、投稿頻度が少ないことを残念に思い、AWESOME STOREの「好き」を、接客感覚でどんどん投稿してほしいと伝えたのです。

ただ、彼女からすれば「投稿内容は何でもいい」と言われても、納得したものを投稿したいという想いもあり、葛藤があったように感じます。

そこから彼女が導きだしたのが、毎日同じAWESOME STOREのお弁当箱に詰めた自身のお弁当の投稿です。

とにかくはじめは投稿する習慣を作ってほしくて、量にこだわって働きかけをしていたのですが、それによって、スタッフが自ずと質のいい投稿を目指すようになっていると思います。

Instagramは背伸びした非日常感を、STAFF STARTは等身大の日常感を発信


園田氏:御社はECサイトだけでなく、Instagramも運用されていますよね。同じような「写真投稿」を機能として持っていますが、STAFF STARTとInstagramをどう使い分けているのでしょうか。

堀口氏:Instagramはイメージブランディングを目的として、世界観やいい意味での非日常感を重視しています。一方STAFF STARTのコーディネート投稿だと、多岐にわたるスタッフが投稿しているので、商品のリアルをスタッフの目線で発信しています。

例えばあるブランドに魅力を感じたとしても、すべてのアイテムがお客様とマッチするかというと、そうではありません。Instagramではブランドの魅力は伝えやすいと思いますが、そこから実際に自分に合うか合わないか、つまり最終的な商品購入の意思決定には繋がりにくいのかなとも感じます。お客様にとってはどちらも必要な情報であり、発信の上では両輪だと考えています。

PART 3 : パーソナライズ戦略:量から質への転換

ファンを沼にハマらせたい!コンテンツの質を伝えブランドの深みへ

園田氏:ここからはパーソナライズ戦略をテーマに進めたいと思いますが、堀口さんは「沼化」というキーワードを上げてくださいました。かなり印象的なキーワードです。

堀口氏:AWESOME STOREのことを知りたいなとか、買いたくなっちゃうなとか、AWESOME STOREってなんかいいよね、というような“沼にハマる感覚”をファンには味わってもらいたいと思っていて、我々がブランドイメージや世界観にこだわっている意味も、まさしくそういった“沼化”にあると考えています。

園田氏:以前、店舗を訪れた時に印象的だったのが店舗動線の設計です。入り口から奥に進むほどにユニークなものが置いてあり、まさに歩けば歩くほど、沼にハマっていくような感覚を味わいました。ECサイトでも顧客動線の設計やレイアウトを工夫されているのでしょうか。

堀口氏:沼の本質を考えたときに、例えば居心地の良さや共感だと考えていて、そういったことが伝わるサイトになればいいなとは思っています。

園田氏:それが、お客様の趣味嗜好に合わせた情報発信と、共感を得られるコンテンツづくりに繋がっているんですね。

パーソナライズした情報発信には、商品×コンテンツで無限の可能性が生まれる


園田氏:顧客ニーズに合った情報を届ける「RECOMMEND」はどのように活用されていますか。

堀口氏:これまではサイト訪問時に「アイジェント・レコメンダー」を使ってレコメンド商品を表示していました。ただ先述の通り、コンテンツの質が高まってきたので、次はその質をファンに共有していきたいと考えています。

質の共有を目指し、現在はメールコンテンツをパーソナライズできる「レコガゾウ」を活用して、メルマガ配信にもトライしているところです。コンテンツと商品を掛け合わせた情報を、お客様のニーズや傾向に合わせて配信することで、さらに深いコミュニケーションができるようになったと感じています。

クリエイティブの高さももちろん重要で、最後はそういった“沼化”で育まれたブランドへの共感や愛着を、レコメンド機能も使って購買につなげることに挑戦しています。

園田氏:レコメンドといってもただ商品をおすすめするだけでなく、商品に紐づく膨大なコンテンツと掛け合わせることで一気に提案のバリエーションが増えますよね。STAFF STARTを活用してコンテンツのラインナップ数を増やし、そこで増えたコンテンツとそれに紐づく商品を組み合わせて紹介する。まさに我々が望むパーソナライゼーションを実現していただいているなと嬉しく感じます。

時代に合わせた“味変”で、もっとおいしいECサイトへ


園田氏:最後に、今後ECサイトでどんなことに取り組もうとしているのか、教えてください。

堀口氏:私がカレーライスを好きなもので…カレーライスに例えてお答えしたいと思います。AWESOME STOREのECサイトは今、STAFF STARTしかり、アイジェント・レコメンダーしかり、様々なスパイスを調合して、ようやくカレーライスという形に完成できたと思っています。

ECサイトのリニューアルによりもとになるカレーライスができたので、ここからさらに味を追求したいと思っています。そのために、例えば、他にもスパイスとなるソリューションやサービスを導入しながら、時代に合った‟味変”に取り組みたいです。

園田氏:カレーの例えは、とてもわかりやすいですね。我々ソリューションを提供する側のお話をすると、「ソリューション」という言葉の語源は、さまざまな物質を溶かす水の意味があります。その水に何を溶かすかで効果や活用の幅は変わるというわけで、AWESOME STOREのようにツールを活かし使ってもらえるのは理想的ですし、ぜひ、これからも使い方を工夫して使ってもらえたら嬉しく思います。

「AWESOME STORE」事例インタビューはこちら

堀口 周作
オーサム株式会社
専務取締役
大学時代にニューヨークに2年間単身渡米。帰国後は飲食業界で経験を積み、2017年2月にオーサム株式会社に入社。AWESOME STOREの出店拡大や、カフェ事業の立ち上げに取り組む。店舗運営やEC事業なども統括しており、現在は更なるAWESOME STORE独自のOMO推進を含め、部署を横断した事業全体をリードしている。

園田 真悟
シルバーエッグ・テクノロジー株式会社
マーケティング部シニアマネージャー
国内システムインテグレーター、ネットワークツールベンダーにてプロダクトマーケティングに従事したのち、2017年シルバーエッグ・テクノロジー株式会社に入社。マーケティング部シニアマネージャーとしてプロモーション業務を統括する。多数の顧客インタビューを通じてデジタルマーケティングの課題を分析し、パーソナライゼーション技術の適切な利用方法を提案している。趣味はプラモデル。

薄井 崇史
株式会社バニッシュ・スタンダード
Head of Sales
Webマーケティングツールを提供するシルバーエッグ・テクノロジー株式会社で、クライアントへの導入提案から、パートナー企業とのアライアンスの構築などを経験。その後、ランサーズ株式会社を経て、2020年11月に株式会社バニッシュ・スタンダードに入社。営業責任者として、ファッション業界を始め、化粧品・家具・家電・食品・小売など、様々な業種の「スタッフのDX化」をSTAFFSTARTの提供を通じて支援している。

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