STAFF START
ケース November 26, 2020

【共催セミナーレポート】フォロワー数450万人のパルが実践するオムニチャネル施策に迫る

新型コロナウイルスの影響により、働き方や生き方が変わった2020年。小売業界では、実店舗とオンラインをうまく掛け合わせて、より快適な買い物体験をお客様へ提供する「オムニチャネル化」が増加しています。

オムニチャネルの成功例としてメディアにも多く取り上げられ、ファッション業界のみならず、さまざまな業界から注目を集めているのが株式会社パル。グループ全体のEC売上高は175億円、自社ECサイトの売上成長率は140%とコロナ禍の中でも高成長を続けています。

その成長の秘訣、取り組みの裏側にはどんな施策があるのか。今回は、オムニチャネルの責任者としてグループ全体のデジタル戦略を推進する、株式会社パル 執行役員 プロモーション推進部部長の堀田覚氏をお迎えし、株式会社バニッシュ・スタンダード 代表取締役 小野里寧晃と対談。2020年11月26日に開催されたセミナーの様子をご紹介します。

第一部:フォロワー数450万人「PAL GROUP」のオムニチャネル施策

第一部では、堀田氏より「PAL GROUP」の事業紹介、オムニチャネルの施策についてお話をいただきました。

PAL GROUPは、多数のアパレルブランドを全国展開する実店舗発の企業です。実店舗数が約1,000店舗、取り扱いブランド数は約60。「CIAOPANIC」「mystic」「GALLARDAGALANTE」といったファッションブランドから、生活雑貨「3COINS」まで、10代後半から60代まで幅広いユーザーに向けたブランドを展開しています。

PAL GROUPが行っているオムニチャネル図は下記の通りです。

パルは全国に5,000〜6,000人の店舗スタッフを抱えています。店舗に所属するスタッフ自身が普段からSNSで情報発信していたこともあり、全国1,000店舗、6,000人のスタッフの力を活用してオンライン事業を強化したいと考えていました。新規、既存のお客様関係なく、可能な限りSNSでコミュニケーションをとり、ライトな関係をつくるように意識。お客様にリーチできる可能性を広げて、実店舗、ECサイトのどちらもに来てもらえるような導線を心がけているとのことでした。

STAFF STARTを通じて、店舗スタッフによって投稿されるコンテンツは主にメール、アプリ、LINE等のチャネルで活用しています。商品を購入したECユーザーにはメールが届くため、メールでのアプローチが有効的。反対に若者層はメールを利用する習慣が定着していないため、それ以外のアプローチも必要だそうです。パル公式アプリは、店舗スタッフがお客様におすすめし、購入に応じてポイントがつくメリットを伝えるなどダウンロード数を伸ばせるよう注力。一方、LINEはセルフ販売を行うショップを中心に展開。LINEのミニアプリを半年前に導入し“友だち”の登録数が増えている状況です。そこで友だちとなったお客様に対してのアプローチも行っているとのことです。

また、CRM(顧客を中心に考え利益を最大化する手法)はシナリオをつくって回すように意識されているそう。商品を“お気に入り”に追加したお客様には、セール情報や在庫が残りわずかといった情報を通知。新型コロナウイルス防止対策の強化に伴い実店舗への来店数が減少する中、店舗スタッフの信頼感や知識をECサイトに活かすべく、テクノロジーでカバーしていきたいとお話いただきました。

続いて、デジタル戦略の基本について解説。、「KPI」は数字の指標によって方向性を表すのが大切だとお話されました。しかし、実店舗の場合、「商品が何点売れたか」しか見られないことが多く、「何が売上につながるのか」を肌感覚で判断するのは難しいとのこと。

 

一方、デジタルの場合は売上をはじめとするデータが可視化されるため、結果や、そこに至るプロセスが明確になります。データを分析することによって、お客様の情報や、売上に繋がった理由をイメージできるように日々意識するのが大切だと説明されました。最終的にコンテンツ、サービスに落とし込むにはどのような具体的なフィードバックができるのか、上記の3点(※画像参照)を繰り返し考えるそうです。

また、お客様はリアリティを求めていると解説。ECサイトのどこにリアリティを感じていただけるか大きなポイントです。スタイルのいいモデルの写真だけでは、お客様の共感が得られず、購入に繋がりにくいといいます。6,000人の店舗スタッフを抱えるパルだからこそ、お客様と近い身長や体型、好みといった多様性が可能となり、お客様が求めるリアリティを叶えられるとお話いただきました。

第二部:導入ブランド数1,000超!「STAFF START」のデジタル接客とは

第二部では、小野里から自社の「STAFF START」について説明がありました。

「STAFF START」は、店舗スタッフのDXにより店舗とEC、企業と顧客をつなげる“Staff Tech(スタッフテック)”アプリケーションサービス。店舗スタッフがアプリケーションを通じて投稿したコーディネート画像をブランドのECサイトやSNSに反映させるだけでなく、店舗スタッフによるEC上の売上を可視化することにより、スタッフ個人やスタッフが所属する店舗の評価につなげます。2020年12月には導入ブランド数1,200、年間流通総額1,100億円を突破。7万人を超える店舗スタッフが利用するなど、国内トップレベルの実績です。

「STAFF START」が急成長した理由

STAFF STARTでは、店舗スタッフが投稿したコンテンツ経由の売上が管理画面はもちろん、店舗スタッフ自身もアプリから実績を確認できます。店舗スタッフ自身が企業内やブランド内のランキングを確認できることによって、ライバル意識を持って働けるようになったことが急成長の大きな理由でした。また、各投稿ごとの売上や実績も把握できるため、自分の投稿がお客様にとって効果的であったかを分析できます。

中には、STAFF STARTを通じたコンテンツ投稿によって、なんと1か月で約9,000万円をEC上のみで売り上げるスタッフも。デジタル接客の強みは、地域や時間にとらわれず“接客”が行えることです。これまではユーザー体験ばかりが注目されてきましたが、今後は店舗スタッフをはじめとする従業員の成功体験、つまりEX(Employee Experience)を重視することが重要です。店舗スタッフによるEC上の貢献度を可視化して、評価につなげることで店舗スタッフのモチベーションが向上。お客様へのより良いサービス提供につながるだけでなく、企業への貢献度や利益追求が生まれるなど、新しい文化や施策が生まれるきっかけになったことをお話しました。

第三部:対談「デジタル接客」を成功させるための心構えとは

第三部では、堀田氏と小野里の対談が行われました。

4年間で4倍の売上成長を遂げたECサイトの勝因について、パルの堀田氏は「お客様にとことん向き合ったこと」だったと分析。

堀田氏:「ECサイトのKPIは、訪問者数、コンバージョンベルト 、客単価の掛け算があって、それをどうしていくかが論点になります。多くの場合、訪問者数が注目されやすいですが、訪問したお客様がスムーズに購入できる状態に整っているかを考えるのがまず先。ECサイトを訪れたお客様に『購入したい』と思ってもらえるための判断材料、つまり商品、魅力的な画像、コーディネートなどのコンテンツ、使いやすいUI・UXが揃っていることが基本。そこから訪問者数を掛け算する考え方が本質的です」

ECサイトの中でも、売れる・売れないの差は、お客様に購入してもらうための施策の順番が間違っている可能性が大きいそう。UI・UXが原因の場合もありますが、そもそもお客様は商品に納得したら購入するはず。

また、小野里からの「店舗やECサイト間で発生する在庫数の問題についてはどう対応すべきか?」という質問に対しては、徹底的にお客様目線に立つことで打破できる、と回答。

堀田氏:「実際に『うちのブランドはECサイトでは売れないかもしれない』という議論も多いです。もちろん実店舗でしか購入しないお客様もいますが、これだけECサイトの稼働率が増えている今、ECサイトを中心に買い物するお客様の方が圧倒的に多いのも事実です。だからこそ、まずはお客様がECサイトで購入することを前提に、お客様と向き合い、購入してもらうために何ができるのかを考えましょう」

「購入」を前提にお客様と向き合うことについて、引き続き堀田氏ご自身の考えについてお伺いしました。

堀田氏:「お客様はシンプルに商品が欲しいんですよね。そこに矛盾がないようにコツコツ実践していくしかありません。例えば、『こんなお客様が多いので、この層にニーズがあります』や、商品が売れたら売上を分解して『なぜ売れたのか、何をしたのか』など細かく分析し、的確な情報を提示できるようにする。そんな小さな成功体験を関係者に伝えることで、在庫問題の突破に繋がり、“売れるECサイト”に繋がっていくのではないでしょうか」

「STAFF START」では、店舗スタッフ一人ひとりの売上実績を詳細に可視化。。堀田氏はご自身のことを「管理画面オタク」と言い、数字を毎日細かく見ることを推奨されています。

堀田氏:「毎日管理画面を見ることで、ちょっとした異常値に気がつけるんですよね。『この数字はなんでだろう?』と思った瞬間に、初めてお客様を想像できるんです。こうした気づきによって、お客様から求められているコンテンツや商品の提供に繋がりますデジタル接客を成功させるには、常にお客様の目線に立ち、地道な作業をコツコツ続けていく気持ちが何より大切だと、参加者の皆様に伝えていただきました。

【登壇者情報】

株式会社パル 執行役員 プロモーション推進部部長

堀田 覚氏

新卒で大手アパレル企業に入社し、婦人服の営業にはじまりVMDやMD、ブランド責任者を経験。その後、雑誌社が立ち上げたメディアコーマスサイトのMDとマーケティングの責任者を経て、2014年にパルに入社。プロモーション、EC、WEBシステム、CRM、オムニチャネルの責任者としてDXの推進を担当している。

株式会社バニッシュ・スタンダード CEO/代表取締役

小野里 寧晃

1982年10月24日群馬県前橋市生まれ。2004年大手Web制作会社に入社、EC事業部長として主にアパレル企業などのECサイト制作に従事。2011年株式会社バニッシュ・スタンダードを設立。EC構築から運営の全てを請け負うフルフィルメント事業を提供する中で「リアル店舗を存続させるEC」を目指し、2016年に店舗スタッフのDXにより店舗とEC、企業と顧客をつなぐ“Staff Tech”サービス「STAFF START」を立ち上げる。

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