STAFF START
セミナーレポート September 20, 2021

【セミナーレポート】デジタル接客で「もっと買いたくなる仕組み」を作る方法とは?

店舗集客が困難になり、オンライン販売が主流となりつつある今日、小売業界における店舗のDXは多くの企業にとって最大の課題となりつつあります。店舗のデジタル化を進める上で重要なのが、店舗スタッフのデジタル化です。店舗スタッフの接客やサービスに関する経験や知識をオンライン上でいかに活かすことができるかは、DXを進める上で大きなポイントとなります。 今回は、オリジナル雑貨販売を手がける 「AWESOME STORE(オーサムストア)」を運営する株式会社レプレゼント専務取締役の堀口 周作氏とRepro株式会社の重崎 竜一氏、そして株式会社バニッシュ・スタンダードの薄井 崇史が登壇し、オンライン接客の効果を最大限に活かすための実践について話しました。

第1部:非対面接客のあるべき姿とは?

非対面のオンライン接客は、実店舗の接客とは形式が異なるため、店舗スタッフの業務とは切り話して考えられることは少なくありません。しかし店舗スタッフをオンライン接客へ積極的に配置することでオンライン(=ECサイト)とオフライン(=店舗)の両立が実現します。第1部では株式会社バニッシュ・スタンダードの薄井よりSTAFF STARTについての説明がありました。

STAFF STARTというサービスを立ち上げたきっかけは、弊社代表である小野寺が、友人であるアパレルスタッフから言われた「ECなんて大嫌い」という言葉でした。というのも、店舗へ足を運ばなくとも商品が買えてしまうECが台頭することで、実店舗への来客数は以前よりも少なくなってしまいます。来店数が少ないと、店舗売上が落ち込み、スタッフの給与も上がらず、存在価値も希薄になってしまいます。一方、企業側からすると、新型コロナウイルスの蔓延もあり、ECを強化せざるを得ないという状況です。

このような現場スタッフと企業のそれぞれが抱える課題を解消するため、生まれたのがSTAFF STARTです。STAFF STARTのコンセプトは、「店舗スタッフがECに立つ」、つまりECでも実店舗同様の接客を提供することです。これまでのECには「商品」と「レジ」はあったが「スタッフ」がいなかった、ここに実店舗のスタッフに立ってもらうことで、高い顧客満足度の実現と、店舗スタッフの活躍機会の提供に結びつけています。

デジタル接客へのコミットを促す評価制度の必要性

店頭スタッフをECに配置する際、解消すべき懸念事項がもう1つあります。それが「ECにおけるスタッフの活躍を企業がどのように評価するのか」です。店舗スタッフのDX化の実現にあたり、オンライン業務の評価制度の拡充は非常に重要です。オンライン上で実際にサービスを提供するのは店舗スタッフであり、彼らのモチベーションやスキルが顧客体験に直結するためです

そこでSTAFF STARTが提案しているのが、スタッフ1人1人の売上を可視化するシステムです。スタッフが個人単位で売上にどれだけ貢献しているかを表示できる機能を実装し、客観的な評価を実現できるよう仕組みを整備しました。実際、店舗スタッフによる接客のオンライン化、そしてスタッフ単位での売上の可視化によって、さまざまな情報が明らかになっています。1つ面白い事例として紹介したいのが、都心店舗のスタッフより、地方店舗のスタッフの方がEC売上に大きく貢献しているということです。例えば、地方店は都心店と比較すると来店客数ではどうしても見劣りしてしまいます。しかし、オンライン上ではその差がなくなるので、地方店のスタッフがランキング1位をとるケースも多く見られます。これはスタッフの方の大きなモチベーションにもなっているようです。
また、可視化したスタッフ個人の売上実績を自社のスタッフに共有することも可能です。企業やブランド内のスタッフ売り上げをランキングとして共有することで、スタッフが自発的に「売れるコンテンツとは?」について考えるきっかけを生み出せると思います。また、自分自身の投稿から商品が売れた際にはプッシュ通知でスタッフのスマホに連絡が届く仕組みになっており、店舗同様、商品を販売できた喜びをオンライン上でも感じられるよう設計しています。

最高売上は9,000万円以上。店舗比100倍の事例を生んだ4つのDXとは

これらの機能を活用し、各企業では多様なスタッフがオンラインで活躍の機会を得られているだけでなく、企業に大きな利益をもたらした事例も数多く登場しています。ここで実際の例を見てみましょう。とあるスタッフの月間最高売上は、なんと9,081万円。店頭売上の100倍近い売上を実現しています。1投稿あたりの最高売り上げは1,200万円にものぼるなど、オンライン接客において質の高いコンテンツを発信することの重要性がわかります。

このような大きな効果を実現するためにSTAFF STARTで意識しているのが、スタッフの4つのDXです。1つ目がセンスのDXで、商品情報を紐つけた洋服のコーディネートの提案やインテリアプランを提示できる仕組みづくりです。
2つ目が、スタッフの知識のDXです。お買い得情報や、実用性に富んだラインナップを提案し、販売促進に繋げます。
3つ目は、スタッフの体験のDXです。例えばワインの味について、自由に設定できる評価スケールを実装し、コメントと合わせてレビューを提供できるようになれば、ECサイト上でも専門的な意見を顧客に対して簡単に提示できるようになります。
4つ目は、使用シーンのDXです。静止画では情報を伝えにくい商品を動画化できる機能を実装し、動的なコンテンツの発信が可能です。

以上のように、非対面のオンライン接客においては、いかにして「人」の声を届けられるかが重要であると我々は考えています。商品の概要説明だけでなく、まるで実店舗を訪問しているかのような体験をECサイトでも提供し、顧客満足度へ貢献、そして企業価値の向上につなげられます。そのためには、スタッフのオンライン上の貢献を正しく評価できる仕組みが重要です。売り上げなどの個人の活動結果を具体的に可視化できる仕組みにより、スタッフ一人ひとりが自身の投稿を分析し、自発的にコンテンツの改善を行っていく環境は非対面接客の価値を大きく高めてくれるでしょう。

今後は顧客と店舗スタッフが直接コミュニケーションできる双方向性の確保をはじめ、店舗スタッフのさらなる活躍に向けた取り組みに力を入れていく予定です。

第2部:CVR180%を実現した”お客様視点”のデジタル接客

実店舗のDXを進めていく上で、課題となるのがノウハウを持った人材の獲得です。アパレル業界はDX人材が特に不足している分野ですが、Reproでは徹底したノウハウ拡充とツールの活用を実現し、DXを後押ししました。
第2部ではRepro株式会社の重崎氏よりお話いただきました。

ノウハウ不足の環境からROI863%達成。効果的だった改善施策とは

Reproがコンバージョン率(CVR)の優れた改善結果の事例としてご紹介したいのが、WEGO様のケースです。積極的なEC化を進めていく中で、特に重点を置かれていたのが、お客様との1to1マーケティングの実現です。お客様一人ひとりに合わせた最適な購入体験を届けたい一方で、顧客データは店舗とWeb、そしてアプリという複数のチャネルに分散していたため、適切なアプローチをとるのが難しい状況でした。
また、CVRの改善は売上向上のためのボトルネックとなっていただけでなく、EC運営チームも店舗スタッフ経験者が大半を占めていたため、ノウハウやリソースの不足も課題となっていました。
結論からご紹介すると、同社のCVRは180%達成、ROIは863%にも到達するなど、めざましい結果を実現しています。具体的な施策としては、運用体制の構築、シナリオ設計、そして大量かつ高速のPDCAの実践を掛け合わせたことが鍵となりました。

迅速な意思決定とSTAFF START×Reproの活用で課題解決とCVR改善に貢献

続いてのシナリオ設計では、各種分析結果をもとにしたセグメント別シナリオのブラッシュアップに努めました。WEGO様が問題視されていた顧客IDの統合を実施し、顧客データをもとに、シーン別の問題解決シナリオを策定しています。お気に入り登録商品の未購入にはクーポン提供で購入を後押ししたり、詳細ページを閲覧したユーザーにはスタッフコーディネートへ誘導したりと、各状況に合わせたシナリオ構築を行いました。3つ目のPDCAですが、こちらは年間で200以上の施策を投下するという、とにかく高速での実践を進めていくというものでした。シナリオに基づいて高速、大量の施策を行い、改善を進めていきました。
中でも効果的な取り組みだったのが、STAFF STARTとReproを併用した機能の実装です。STAFF STARTを用いたコーディネートコンテンツのCVRの高さに注目し、さらにアクセスしやすいようポップアップ導線を設置したことで、更なるCVRの向上に努めています。

第3部:STAFF STARTが見つけたオンライン接客の正しいアプローチ

ライフスタイル雑貨を手がける「AWESOME STORE」では、雑貨業界に「コーディネート」の概念を導入することで、オンライン接客効果を大きく高めることに成功しています。第3部ではの株式会社レプレゼント堀口氏よりSTAFF STARTの汎用性の高さを生かした、独自の運用方法に迫りました。

店舗同様の体験をオンラインでも。STAFF START導入の狙い

弊社ではデザイン性に優れたオリジナル製品を展開する「AWESOME STORE」を運営しています。原宿発のライフスタイルショップとして、現在では東北から九州まで、63の店舗を展開しているのですが、ECサイトは2018年よりスタートしています。現在の会員数は17万人を超え、売上を伸ばし続けていきました。2021年3月にはECサイトとアプリのリニューアルも実施し、OMO戦略型のECサイトとして更なる成長に向けて動き始めています。
STAFF STARTの導入のきっかけは、「コーディネート」の概念を雑貨などのライフスタイル用品にも当てはめることができないか、というアイデアにあります。アパレル分野での同サービスの活躍についてはよく知っていたので、AWESOME STOREならではの使い方にチャレンジしたいという思いからSTAFF STARTを導しました。

弊社の取り組みとして特徴的なのは、コーディネートコンテンツに人が写っていないところにあります。一般的な「コーディネート」はその人がどのように服を着こなすか、というところに焦点を当てたコンテンツですが、AWESOME STOREでは「モノ」にスポットライトを当て、主体的にアピールできる場として活用しています。また、投稿を行うスタッフが自ら写真に写らなくても良いので、投稿のハードルを下げ、積極的に活用してもらえるのでは、という狙いもありました。

STAFF STARTを導入した2つ目の狙いとして、圧倒的な情報量の商品ページを作りたかったからです。AWESOME STOREの店舗は来店した方にワクワクしてもらえるように様々な工夫をしています、、一方でECサイトは店舗と比べて少し質素で、地味な印象を与えていたことが弊社の課題でした。そこでECサイトのリニューアルに伴い、商品ページを実店舗同様にワクワクさせるようなものへと生まれ変わらせるべく、STAFF STARTの導入を進めました。
リニューアル時に大切にしたのは、実店舗の賑わいをECサイトで表現したらどうなるか、という点です。そこでたどり着いたのが、1つの商品に対して多くの情報をページ上で提供し、賑わいを演出するというアイデアでした。店舗スタッフによるコーディネート投稿、​​お客様からのインスタ投稿やレビュー評価などをページに実装することで、ECサイトが賑わっている様子を表現しています。
一連の機能の実装にはSTAFF STARTが用いられていますが、おかげで実店舗では実現できないような施策に発展させることも可能になっています。九州のスタッフと東京のスタッフが同じページで登場するなど、地域にとらわれない商品情報の発信を実現しています。

5ヶ月で5,000投稿達成!オンライン接客導入における3つのポイント

STAFF STARTをオンライン接客に導入したことで、販売戦略にも大きな変化が現れました。弊社のような小売業界の場合、DXやデジタル戦略についてのノウハウの蓄積は浅く、社内で共有をしようにもなかなか理解が得られないことも少なくありませんでした。
STAFF STARTの導入は、そんな状況を打開するきっかけとして、大きく寄与しています。全国の店舗スタッフが主体的にECサイトの商品ページの更新に携わってくれることで、AWESOME STOREらしいアップデートの実現に繋がりました。今回はそのような経験も生かし、AWESOME STOREが考えるオンライン接客のポイントをご紹介したいと思います。

1つ目のポイントは大前提として、会社の全スタッフがAWESOME STOREを好きであるということ。当たり前のことではありますが、経営層と店頭スタッフとの間でこの点における認識に違いが生まれてしまうと、DXのような取り組みを前進させることは難しくなります。
2つ目のポイントが、スタッフのモチベーションです。従来は1人1店舗の感覚が当たり前でしたが、オンライン接客を強化する上では、一人ひとりのスタッフが1店舗+1ECを兼任しているという感覚を持ってもらうことが重要です。ECの場合、スタッフが出勤していない時間帯も、コンテンツを日々更新しておくことで、売上への貢献が可能となります。この考え方を広く共有することで、スタッフのモチベーション向上に努めることが大事だと考えています。

3つ目のポイントは、日常的な投稿です。売上につながるコンテンツの投稿にはノウハウが求められますが、オンライン接客を浸透させるためには、投稿を日常化するところから始める必要があります。クオリティやルールに囚われず、あえてハードルを下げることにより、オンライン接客の文化を根付かせることが大切です。
これらのポイントを実践に移すことで、AWESOME STOREでは導入から5ヶ月で5,000投稿の達成に成功しました。また、全体売上の3分の1がSTAFF START経由であることからも、店舗スタッフによるコンテンツの発信が大きな意味を持っていることを、客観的に理解してもらえると思います。

第4部:デジタルマーケティング人材確保のポイント

DXの実現に欠かせないのが、ノウハウを持ったデジタルマーケティング人材の確保です。しかし多くの業界ではこういった人材の確保は難しく、必要な業務を十分に行えていないのが現状です。このような状況を打開すべく、各社ではどのような取り組みが行われているのか、それぞれのアプローチを語っていただきました。

内製化にこだわりすぎない戦略策定の重要性

堀口:デジタルマーケティング人材の不足はかねてよりささやかれてきたこともあって、人材確保に悩まされている現状は不自然な結果ではないと感じています。弊社としてもまだまだデジタル人材の不足は課題として残っていますが、どこまで自社で内製化してしまうのか、という線引きもポイントだと思います。
もちろん、全ての自社システムを自ら賄えるのであればベストですが、人材不足が課題である今日において、実現可能性は現状だと多くの企業がゼロに近いと言えるのではないでしょうか。にもかかわらず内製化にこだわって施策を進めてしまうと、中途半端な結果に終わってしまうケースも考えられます。そのため、あらかじめ外部サービスに任せてしまいたい範囲も検討しつつ、「ここだけは自社で取り組みたい」というコアの部分の策定にも力を入れるなど、事前の戦略策定に力を入れるべきでしょう。

非対面でも接客品質を高めるための取り組みを

薄井:堀口さんも触れられていたように、デジタルマーケティングは戦略の策定が重要になります。実店舗での接客は、実際に店頭に立つ前に丁寧な研修などが行われていることがほとんどで、その質についてはある程度保証されています。一方で不思議なことにオンライン接客となると、「SNSへ投稿する写真の撮影お願い!」「ブログ書いてみて」と教育や研修をスキップして取り敢えずやってみるケースも散見されます。

AWESOME STOREさんのように、コンテンツの発信における線引きを企業側で行えば、現場の混乱を最小限に抑えながらオンライン接客を進めていくことができます。デジタルマーケティングに携わる担当者の方達が、店舗スタッフに向けて適切に案内する、あるいは依頼をすることで、効果的なEC活用を進められるのではないでしょうか。

株式会社レプレゼント
専務取締役 堀口 周作氏
2017年2月、株式会社レプレゼント入社。AWESOME STOREの出店拡大や、カフェ事業の立上げに取り組む。PRやEC事業なども統括しており、2021年3月にECサイトとアプリの大幅リニューアルを主導。現在は更なるAWESOME STORE独自のOMO推進を含め、店舗とECを横断した事業全体をリードしている。

Repro株式会社
重崎 竜一氏
株式会社ECナビ(現:VOYAGEGROUP)に新卒入社。子会社立ち上げを経て、2015年にSSP事業を展開するfluctに異動。アプリ向けSSP事業を立ち上げ、国内外様々なアプリの広告マネタイズを支援。2018年からRepro株式会社でスマホゲーム市場での事業開発を担当。2020年8月から営業部長に就任し、営業組織全体を統括。

株式会社バニッシュ・スタンダード
薄井 崇史

エン・ジャパン株式会社に新卒入社。その後、Webマーケティングツールを提供するシルバーエッグ・テクノロジー株式会社で、クライアントへの導入提案から、パートナー企業とのアライアンスの構築等を担当し、IPOを経験。その後、ランサーズ株式会社を経て、2020年11月に株式会社バニッシュ・スタンダードに入社。営業責任者として、ファッション業界を始め、化粧品・家具・家電・食品・小売等、様々な業種の「スタッフのDX化」をSTAFF STARTの提供を通じて支援する。

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