STAFF START
セミナーレポート September 28, 2022

【セミナーレポート】ストライプインターナショナル×STAFF START|いますぐ真似できる!オンライン接客で効果を出すコツ 投稿数が急増「ストライプクラブ」が実現するスタッフDX

生活者の消費行動に影響力を持っている「オンライン接客」。店舗スタッフや社内の巻き込みが成果を出す鍵だと頭ではわかりながらも、コツがわからず試行錯誤するEC・デジタル担当者も少なくないのではないでしょうか。そこで今回は「オンライン接客の実践的な運用ノウハウ」をテーマにウェビナーを企画。いち早くSTAFF STARTに取り組み、成果を上げている株式会社ストライプインターナショナルECカンパニーマネージャー吉野将志氏をゲストに迎え、オンライン接客の運用やスタッフDXの秘訣に迫りました。

1. 投稿のクオリティ重視しスモールスタートで始動

バニッシュ・スタンダード/田中悠(以下、田中):本日は「オンライン接客の実践的運用ノウハウ」をテーマに、ストライプインターナショナルの吉野様をゲストにお話しをうかがいます。聞き手を務めます、バニッシュ・スタンダード執行役員の田中と申します。それでは吉野さんから自己紹介をお願いします。

ストライプインターナショナル/吉野将志氏(以下、吉野氏):ストライプインターナショナルの吉野です。本日はよろしくお願いいたします。主に、LIVEコマースなどオンライン接客ツールの統括マネージャーとして、ブランドを横断した販促の業務に携わっています。ストライプインターナショナルは、「earth music&ecology」「Green Parks」「AMERICAN HOLIC」などのアパレルブランドや、ライフスタイル、テクノロジーを事業領域に展開する企業です。弊社では、当社が運営する公式通販サイト「ストライプクラブ」で、2019年10月よりSTAFF STARTを運用しています。

>> https://stripe-club.com/より転載

田中:STAFF STARTを導入した背景にはどんな理由があったのでしょうか?

吉野氏:当社は元々、モールECの売上構成比が高かったのですが、方針転換を図り自社EC強化を打ち出したのがきっかけです。自社ECにしかにしかないコンテンツとして店舗スタッフによる接客を強みにしようとSTAFF STARTを導入しました。現在、全店舗の約半数である450店舗ほどがSTAFF STARTの投稿に参加しています。導入時の投稿メンバーは50人程度。元々、株式会社ZOZOが展開する「WEAR」に取り組んでいて投稿自体には慣れてはいたものの、本部サイドで投稿の雛形を固めた上で参加人数を増やす方針としました。現在、投稿するスタッフは約870人の規模にまで拡大しています。

田中:投稿スタッフの選定や撮影時間など基本的な運用ルールについても教えてください。

吉野氏:投稿スタッフの選定は基本的には行っておらず、挙手制です。店舗業務との兼ね合いもありますから、自主性に任せています。運用管理に関してはEC本部がプロジェクトチームを発足。
担う業務は4つあり、①新規投稿を中心とした投稿パトロール業務、②店舗スタッフからの問い合わせなどにこたえる窓口業務、③新規発行や異動・退職時の変更を行うアカウント管理業務、④投稿時につけるハッシュタグの管理業務を行っています。基本的には1人ずつ担当者と責任者を置き、投稿パトロールや、窓口業務は持ち回りとしています。窓口業務は1日あたり約30分、パトロール業務は1〜2時間ほどを割いています。

2. 店舗スタッフを支える仕組みやマニュアル作りのコツ

田中:これは導入時にお客様からよく聞く悩みですが、投稿の中身やクオリティを担保するために、どんな工夫をしていますか。

吉野氏:模範投稿やマニュアルを用意し、それを店舗スタッフに共有しています。また、新規に投稿をスタートする店舗スタッフに対しては、本部側でチェックしてフィードバックをしています。マニュアルを用意していても、完璧に反映されているとは限らないからです。2回目の投稿以降も、STAFF START内の承認機能を使って、修正が必要な投稿は未承認に差し戻しフィードバックするようにしています。

特に、導入の初期段階では、クオリティ担保のため投稿マニュアルをかなり細かく設定しました。例えば、裾から下げ札が見えないようにする、少なくとも鼻元ぐらいまでは顔を出す、座ったポーズで撮影しない、といったことです。最近はルールを一部変更し、一律NGとしない項目もありますが、はじめのうちは厳しいマニュアルで運用を行いました。というのも、クオリティの高い状態を習慣化し、承認プロセスの省略化を予め構想していたからです。

運用後に変更したルールの例として、ハッシュタグの数が挙げられます。関係のないハッシュタグを10個も20個も付けるケースが出てきたことから、適切なタグ付けでないとお客様が情報を探しにくくなってしまうため、1回の投稿でタグ付けできる回数を5つまでに制限しました。タグの内容自体も本部側で管理しています。

田中:確かに、表記ゆれの問題なども出てくるため、本部側でタグを管理している企業が多いと思います。画像のトリミングについても細かく決めていらっしゃるそうですね。

吉野氏:コーディネート投稿は着こなしだけでなく、サイズ感が伝わることが重要です。引きで撮影した方が、雰囲気が出るという意見もありますが、投稿の狙いを理解してもらい、余白は少なく洋服が目立つようにしています。また、サムネイルの統一感を演出するため、余白の統一を行っています。コーディネート投稿の1枚目は全身カットを必須。ディテールのカットも2枚目以降と決めています。それによって、コーディネート投稿一覧のサムネイル表示のトンマナを管理しています。

田中:「運用や投稿に関して店舗スタッフから寄せられる一番多い相談や課題は何ですか。そして、それをどう解決しましたか」という質問をいただきましたが、こちらはどうでしょうか。

吉野氏:「撮影時間」や「撮影場所」に関する問い合わせが比較的多いです。投稿は慣れてくれば時間短縮できるため、慣れてもらうことが解決策のひとつです。その他にもSVに協力してもらい、シフト調整をしています。具体的には、遅番が朝番の仕事だった掃除まで完結するようにし、投稿スタッフは朝番に入り、遅番の協力で余裕ができた時間に投稿できるようにしています。さらに今は、関東近郊に限り、本部にスタッフを呼んでの撮影も実施しています。

田中:シフトは大切ですよね。STAFF STARTを導入し売上を大きく伸ばしたパルさんも、月に投稿4時間、撮影4時間合計8時間を予めシフトに組み込んでいるそうです。店舗業務が忙しくてもコンスタントに投稿できる環境を整えているとのお話でした。
さて、視聴者の方からさらにご質問をいただきました。「複数ブランドを運営しているため、ECサイトのトップページにコーディネート投稿を表示させると、ブランドの世界観が損なわれないか心配です」ということです。こちらについてはどうですか。

吉野氏:ECサイト上のトンマナの統一は意識していますが、STAFF STARTはブランディングというよりコンテンツとして捉えて運用しています。なお、コーディネートはSV中心にチェックしていて、不適切なコーディネートは投稿パトロール時に差し戻すような体制にしています。

3. 売上やPVアップの成果を出す3つのポイント

田中:運用面で売上やPVアップの成果を出すためにどんな工夫をしていますか。

吉野氏:3つあります。1つ目は、STAFF STARTのプッシュ機能を使って、投稿推奨商品を各ブランドに周知することを月2回行っています。新商品が中心ですが、在庫過多な商品の最後の一押しにも活用しています。

2つ目は、まとめ機能を使って特集コンテンツを作り、トップページで露出を強化しています。この特集ページを経由した売上が今かなり大きくなってきています。特集コンテンツでは例えば、季節性を反映した「#夏コーデ」や、「#がっしり下半身」など、テーマに沿った投稿をキュレートした内容を、お客様への提案を含めてコンテンツ化しています。

3つ目は、毎日の投稿アップです。これまで土日は承認担当者が不在のため、投稿公開を行っていませんでした。しかし、金曜から土日の週末は販促施策のタイミングでもあり、それにあわせて鮮度の高い情報を提供しコンバージョンに繋げようと、運用を見直しました。一定の投稿クオリティが担保できるようになり、承認プロセスを省略できるようになった背景もあります。

4. 店舗への送客3割超!モチベーションの土台はインセンティブ設計

田中:続いては、店舗スタッフのモチベーションアップの方法です。これは非常に重要なテーマだと思いますが、どんな風に取り組まれていますか。

吉野氏:端的に言ってしまえば、インセンティブの設計に尽きます。当社でも、何度かの改訂を経て、現在は、13段階ぐらいに細かくランクを設定。インセンティブの対象母数を増やし、新規投稿者の間口を広げています。また、小刻みにランクを設けることで、ランクが上がっていく成功体験を積み、モチベーションを高めやすい設計を狙いました。
売上上位店舗には、店舗単位でのインセンティブも支給しています。先ほどお話したように、投稿は個人だけでなく、周囲のサポートが非常に重要です。理由があって投稿できないスタッフも、サポートという形でSTAFF STARTに携わってくれていますから、それに対して、還元できる仕組みにしています。

田中:個人インセンティブだけではなく、店舗の協力も両輪で評価することで、店舗一丸となりSTAFF STARTに取り組めるようにしているのですね。今、お話して下さった評価制度をはじめ、店舗スタッフのDX化には部署横断型で取り組まねばならない部分もあると思いますが、どのように巻き込んでいったのでしょうか。

吉野氏:粘り強くメリットを伝え続けたことでしょうか。最近はなくなりましたが、当初は「店舗スタッフのリソースをなぜEC売上貢献に割かないといけないのか」「店舗側のメリットはなんだ」といったネガティブな声も多少ありました。しかし、スタッフのEC売上実績や成果を社内の全体会議で伝えることで理解を得ることができました。スタッフについても、投稿がECの売上になっていると感じられるようになったのも大きいと思います。そのほかにも「STAFF OF THE YEAR」をきっかけとした来店など着実にファンが増えていますし、それらが後押しになりました。


また、会員の行動データの分析でも、実際に、コーディネート投稿を見たお客様の3割が1週間以内に店舗で商品を買い求めていることもわかりました。EC売上だけでなく、店舗にもしっかりと一定の送客をできていることを数値として共有できたことで、取り組みをより浸透させるきっかけになったと思います。会員データのみで3割の送客なので、非会員も含めると、もう少し効果が出ているかと思います。

田中:確かに、店舗に来たという方はもっといるでしょうし、会員データを通さずに購入しているお客様もいらっしゃいますよね。皆さん関心持たれる部分だと思うので、DX推進に関してもう少しお聞きしたいのですが、先ほど、メリットや成果を全体の会議で発信していったというお話もされていましたが、評価制度を作る上でハードルになったことは何かありましたか。

吉野氏:支払う原資をどの部署が負担するかに関して議論はありました。先ほど、インセンティブを改訂していったとお話しましたが、元々EC部署から支給していたのを、今は会社として支給する形に変わっています。これは、オンライン接客を通してしっかりと実績を出せた証ではないかと思います。コロナ禍という時流の中で、オンライン接客が経営的なテーマだったことも活動の後押しになったと思います。

実は今だからお話すると、初期のインセンティブはお菓子からスタートしました。その後、2020年8月に1回目のインセンティブ改訂を行い、クーポンやギフト券の配布に変更。さらに実績が伸び続けたのを受け、2回目の改定で人事と連動し、賞与に組み込んだ評価制度に移行しました。

それから1年ほど様子を見たのですが、月間の投稿数自体は減ったものの、売上に関しては右肩上がりが続いており、この結果を受けて全社的に注力すべき施策との判断が降り、2022年1月に3回目の改定を行い先ほどご紹介した評価制度としました。このように、実績を出して社内で成果を共有、それをインセンティブで還元するという流れを何回か繰り返し今の形となっています。

田中:とても勉強になります。最後に、今後の課題と展望を教えていただけますか。

吉野氏:次の目標はSNSからの集客であり、既存顧客ではなく新規顧客の開拓を目標に掲げ注力する考えです。また、雑貨周りの商品カバー率は伸び代がありますので、雑貨を伸ばす施策について検討を進めたいです。

田中:ありがとうございます。吉野さんのお話をうかがって、評価や教育の仕組みがスタッフのモチベーションとなり、それが投稿数や売上といった成果の原動力になっていることを、改めて感じることができました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

株式会社ストライプインターナショナル
ECカンパニー マネージャー 吉野将志氏
ファッション誌、広告などのスタイリストとして活躍後、2011年にAmazon japan合同会社へ入社。ささげワークフローの構築、サイト内のビジュアル製作を経験。2019年4月に株式会社ストライプ インターナショナルへ入社。イメージクオリティの改善と製作運用改善に取り組む。STAFF STARTをはじめ、LIVEコマースなどオンライン接客ツールの統括マネージャーとして、ブランドを横断した販促をリードしている。


株式会社バニッシュ・スタンダード
執行役員 STAFF START事業責任者 田中悠
新卒でキヤノン株式会社に入社。一眼レフカメラのグローバルマーケティングを経験後、2015年より株式会社プレイドに参画。アパレル業界を中心にECサイトのCX向上に向けた取り組みをプランニングから技術的な実装まで幅広く支援。その他パートナーとのアライアンスや事業開発など様々なプロジェクトに従事し成長を牽引。2020年に株式会社バニッシュ・スタンダードに参画し、STAFF START事業全体を統括。2021年4月より現職。

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