STAFF START
ケース September 17, 2021

【トークセッションレポート】『2021年 見えてくるユニファイドコマース アパレル大手 ナノ・ユニバースWEB戦略の新たな一手 3社特別Webトークセッション』前半

「未来的なオムニチャネル戦略」とも言われるユニファイドコマース。お客様によりパーソナライズされた提案をするために、ブランド側はどのような仕組みづくりが必要なのでしょうか。

今回は株式会社TSI デジタルビジネスDiv デジタルマーケティング部 部長(元ナノ・ユニバース経営企画本部WEB戦略部 部長)越智将平氏と、株式会社ecbeingの執行役員 斉藤 淳氏と行った、特別Webトークセッションの様子をお届けします。(※この記事は、2021年2月12日に開催されたイベントレポートです。数値や事象などは、イベント時点のものになります)

第一部:支援実績1300サイト以上、国内通販サイト構築シェアNo.1のECパッケージ「ecbeing」

第一部では株式会社ecbeingの斉藤淳氏より「ecbeing」のサービスについて説明がありました。

ECパッケージ市場12年連続1位。国内最大のリソースでマーケティングを支援

アパレルから化粧品、健康食品、趣味雑貨系まで、幅広い業種で1300超の支援実績を持つecbeing。国内最大の人材リソースで、売上を伸ばすためのさまざまな機能をフルカスタマイズできるECパッケージです。

お客様が簡単に商品レビューを投稿でき、そのレビューを他のお客様の購買決定に役立てていくのが、「ReviCo(レビコ)」です。斎藤氏によると、購入前にレビューを見ているお客様は消費者全体の75.9%にのぼるそうです。しかし、レビューを書くのは手間ひまがかかり、レビューの投稿を促進するのは大変。「ReviCo」はメールで簡単に投稿できるだけでなく、性別や年齢、コスメなら肌質など、投稿タイプ別にレビューの絞り込み設定ができるサービス。「ReviCo」の導入で、投稿数が11倍に増えた企業例もあるそうです。

2021年1月から、STAFF STARTとの標準連携が始まり、スタッフによる「コーディネート投稿」や、特集テーマを創作してコンテンツ化できる「まとめ機能」が標準的に利用可能になりました。

第二部:実店舗の販売スタッフによるコーディネートで、デジタル接客を叶える「STAFF START」

第二部では、小野里よりSTAFF STARTについて説明がありました。

顧客満足度アップに加え、店舗スタッフの「頑張り」も見える化


アパレルブランドをはじめ、コスメや食品など1200ブランド以上が使っている「STAFF START」。サービスの継続率は開始から4年で97.8%、2020年の年間流通総額は1100億円を突破し、毎年約3倍の成長を続けています。(※2021年2月時点の実績)

STAFF STARTの大きな特徴は、店舗スタッフの「売上の可視化」「頑張りの見える化」です。STAFF STARTを利用すると、所属店舗の立地に左右されることなく、店舗スタッフ一人ひとりの強みで売上を伸ばすことができます。個人売上や順位は自身のスマホで確認できるので、どの商品がどれだけ売れたかが分かるだけでなく、企業側は、個人評価につなげられ、インセンティブを還元できるなどのメリットも。数値の見える化がされると、店舗スタッフはもっとお客様に喜んでいただけるオンライン接客をしたいとモチベーションが上がります。そのため結果的に、「EX(Employee Experience)=従業員の成功体験が向上すると、CX(Customer Experience)=顧客満足もどんどん上がってくる」と小野里は話します。

>「STAFF START」をもっと詳しく知りたい方はこちら

第三部:3社特別Webトークセッション【前編】

「コーディネート訴求で来店率とEXが高まる」


第三部では、株式会社TSI デジタルビジネスDiv デジタルマーケティング部部長越智 将平氏と、第一部で登壇された株式会社ecbeing執行役員の斉藤 淳氏、株式会社バニッシュ・スタンダード代表取締役の小野里 寧晃で特別トークセッションを実施。冒頭にナノ・ユニバースが現在推進されているユニファイドコマースについて、越智氏が現状を語ってくれました。

「試着」がある限り、洋服販売はECだけでは完結しない


越智氏:TSIでは今、「ユニファイドコマース戦略」(※編注:オムニチャネル戦略で確立した統合プラットフォームをベースにリアルタイムに顧客を理解し、顧客ごとに最適な情報や購買体験を提供すること)を推進しています。なぜこの戦略を推進することになったのかというと、元々私が所属していた「nano・universe」が、オムニチャネルに注力していたことが起因しています。

「nano・universe」は、全国で70店舗展開しているファッションブランド。ファッション業界の中でも、かなり早くからECに注力してきたため、EC化率も40%と、業界全体で見ても比較的高めです。

越智氏:オムニチャネル化を進めていく中で、ファッションブランドのEC化は努力すればするほど推進されていくものの、ブランドの成長とECの成長が完全にイコールとは言えないことがブランド全体の大きな課題となってきました。

洋服は、ECだけで検討から購入まで、全てを完結することが難しい商材です。なぜなら、店頭でしか解決できないことが多々あるからです。その最たるものが「試着」で、実際に目で見て生地感を確かめ自分に似合うかどうかなど、リアルにしかできない部分があります。

ECで見てからリアル店舗で買う人、リアル店舗で実物を見てからECで買う人など、時代背景に応じて顧客導線がとても多様化してきていますよね。ですから色々な洋服の見つけ方、買い方にしっかりと対応していきたいという文脈から生まれたのが「ユニファイドコマース戦略」になります。

イベント開催時点で、TSIが検討していたユニファイドコマース戦略の概念図

店舗とECを横断して、顧客の趣味嗜好の情報をしっかりとデータで取る。そうすることで、お客様一人一人に最適なサービスの提案をめざしていると越智さんは言います。

越智氏:デジタルから始まって店舗につながっていく購買体験において、お客様にとって不都合な部分が多くなっていまして。それをデジタルの力も借りながら解決していこうと、ecbeingさんやSTAFF STARTさんと連携しています。

たとえば、今顧客接点の一丁目一番地的になっているのが、まさに「スタッフ」です。eコマースが進化していく中で、「モデルカットだけだと、洋服の特性が掴みづらくて買いにくい」という声が非常に増えてきました。そうした状況下で、全国に数百人いる、身体特徴も年齢も多様性に富んだ店舗スタッフが、色々なバリエーションでコーディネートを出してくれるので、コーディネート訴求が非常に強まっていくんですね。

工夫している点としては、eコマースの中でも黄金導線であるアイテム検索においても、スタッフが自然に出てくるUIを採用している点だそうです。

nano・universeはそんなに高価格帯ブランドではないんですが、トータルコーディネートで購入点数が3点4点と増えると、やはり合計では3〜4万円になってきます。その価格帯になったら、ネットで買いますか? というと私個人としては結構怖いなというのが正直なところで。1点だけなら買いやすいけれど、コーディネート全部丸ごと一気に買うかとなったら、いかにスタッフのコーディネート提案が素晴らしくていいなと思っても買うのを躊躇ってしまうかもしれない。そこでそうした課題をクリアにするため、今、来店予約の機能をECとつなげていく施策を進めています。

ECで見たコーディネートを丸ごとリアル店舗に取り寄せ、リアル店舗で試着できる。そんなオンライン、オフラインの垣根を越え、「コーディネート」を楽しめる環境インフラを準備していると越智氏は話します。

コーディネートの参考にしたスタッフが店舗で出迎えてくれる

越智氏:これでもまだ足りないと思っています。ECでスタッフさんのコーディネートを気に入った方は、そのコーディネートだけじゃなくて、スタッフさん本人に対しても好感を持っていることが多分にあるんじゃないかと思うんです。となると、自然な発想としては、「そのスタッフに接客してもらいたい」になりますよね。それを実現するためには、試着予約だけじゃなく、接客予約も必須になります。たとえば行きつけの美容室がある方も多いと思うのですが、あわせて美容師さんの指名もしますよね。それって感性が合う、合わないがあるからだと思うんです。ファッションも同じで、自分の感覚がすごく大事なもの。ですから、この人ともなんか感性が合わないんだよなぁと違和感を持ちながら、毎回違うスタッフに接客してもらうってこと自体が、もう時代に合ってないのかもしれない。

STAFF STARTのような素敵なツールができたことで、色々なバリエーションのコーディネートが見られるようになったので、これからはリアル店舗に行ったら、ECでファンになった店舗スタッフがお客様を接客するためにお待ちしていますよ、という状況を作りたいですね。

接客予約サービスはecbeingが構築を進めており、2021年3月1日にリリースしました。デジタル起点でリアル店舗に来られるお客様の満足度をより高める新機能になりそうです。

越智氏:店舗やスタッフやお店自体の力は、EC化が進めば進むほど大事になってくるので、彼らに対するデジタル的な教育や、また支援も進めていくことにも注力しています。

デジタル接客を店舗に取り入れる際の注意点とは


斎藤氏はスタッフとお客様をつなぐという意味でも、STAFF STARTの役割は非常に大きいと話します。そして現場のスタッフが、STAFF STARTでコーディネートを投稿する際の「時間の使い方」や「他業務との優先度のつけ方」について質問を投げかけました。

越智氏:STAFF START以外で今店舗スタッフにお願いしているのが、チャット接客やSNSを利用したオンライン接客です。スタッフの個人アカウント等も活用しているので、トラブルを回避するためにも、マネジメント層に理解してもらう必要があります。チャット接客をしている間にも、お店にお客様が入ってこられます。そうすると、店頭とチャット接客のどちらを優先したらいいのかを、マネージャーや店長含めて先に決めておかないといけない。そうしたルールを決めておかないと、頑張ってチャット接客をやっているのに、後で店長に怒られちゃうという最悪の事態に発展するかもしれません。ブランドごとに、「○○の状況はこうしよう」など、ある程度ガイドライン化しておかないと、トラブルになりがちなんです。

小野里:チャット接客をやっていないお店であれば、平日の午前中にお客様がいないタイミングを見計らってたくさん撮り溜めておくブランドさんも多いみたいですね。レジに1名配置し、他のスタッフはひたすら着替えて撮るの繰り返し。投稿はいつでもできるので。

小野里は続けて、評価の仕方を提案しました。スタッフがコーディネート投稿した商品が売れると個人の評価になるのに、所属する店舗の店長の評価に関係なければ「店で売りなさい」となりやすい。どうやってその問題を解決するか。

小野里:STAFF STARTの経営売上を個人評価に加えるだけでなく、お店の評価にもできるといいですよね。店舗だけでは95%達成だったけど、STAFF STARTの経由売上も取り込むことで、105%達成にできるとか。そういう見え方になれば、店長からしても「STAFF START頑張ってね」となります。実際、「評価のオムニチャネル化」が有効だと分かり始めたブランドも増えてきています。

コーディネートを表示「する」「しない」の選択も可能


nano・universeのECサイトは、商品一覧ページに店舗スタッフによるコーディネート画像を同時掲載しています。モデル着用の商品画像と、店舗スタッフのコーディネートを区別せずに表示したことに斎藤氏は珍しさを感じたそうです。

越智氏:元々ECには店舗スタッフのコーディネートも出していたんです。それにモデルとして出ている人も、撮影チームの一員だったりもして。だから、モデルと店舗スタッフをきれいに分ける必要があるのかな?と。

私たちのサイトはアイテムカテゴリから入ってくる人がほとんどなんですが、商品を探している段階からコーディネートをみたい人もいるんじゃないかなという仮説を元に、オン・オフを切り替えれば、商品+スタッフコーディネートも見られるようにしました。

実際にEC上でのセット率や客単価は増えているそう。またECで完結するお客様もいる一方で、やっぱり店舗に行きたいという人も一定数いらっしゃいます。その方々にもご満足いただけるように、店舗に予約をする人を増やすのが設計の肝になると越智氏は話します。

【後編】ではコロナ禍による外出自粛や巣ごもり需要に対応し、よりスピード感が増すユニファイドコマース戦略について繰り広げられた3者の熱いトークをお届けします。

>【後編:「コロナ禍で加速するユニファイドコマース」】はこちら

株式会社ナノ・ユニバース 経営企画本部 WEB戦略部 部長
株式会社 TSI EC ストラテジー マーケティングプラットフォームDiv Div長
越智 将平氏
2002年に株式会社ナノ・ユニバース入社。店舗での販売業務を経て、2005年よりECの担当となる。2010年よりWEB事業の責任者として、EC事業の拡大、CRM、デジタルマーケティングを中心に、店舗とECの融合に取り組んでいる。

株式会社ecbeing
執行役員
斉藤 淳氏
2000年よりECサイト構築パッケージecbeingの製品開発、並びにEC事業者への導入・カスタマイズ開発に従事。 プログラマー、SEを経てプロジェクトリーダーとして 100社以上のECサイトの構築を実施。その後、開発部長に就任。 現在、eビジネス営業本部 執行役員として ecbeing全般のマーケティングやセミナー責任者を務める。