STAFF START
ケース September 17, 2021

【トークセッションレポート】『2021年 見えてくるユニファイドコマース アパレル大手 ナノ・ユニバースWEB戦略の新たな一手 3社特別Webトークセッション』後半

2020年からのコロナ禍の影響で、アパレル業界でも撤退や閉店が相次ぎました。私たちの暮らしが大きく変わった今、ECにシフトする企業が多い中でTSIは実店舗やスタッフを守りながら、ユニファイドコマース戦略を進めていると言います。
『2021年 見えてくるユニファイドコマース アパレル大手 ナノ・ユニバースWEB戦略の新たな一手 3社特別Webトークセッション』 後半の模様をお届けいたします。

第三部:3社特別Webトークセッション【後編】

「コロナ禍で加速するユニファイドコマース戦略」
コロナ禍から店舗やスタッフも守るSTAFF START


斉藤氏:2020年は緊急事態宣言などでお店が開けない、でも店舗スタッフの雇用は守らなければならないという状況でした。こうした状況下で、各社店舗スタッフの力をどう生かすかは課題になったと思います。STAFF STARTへの問い合わせ状況などはいかがでしたか?

小野里:コロナをきっかけに、それまで導入を迷っていた企業が一斉に問い合わせをしてきました。お客様の来店はない一方で、店舗スタッフのリソースが空いている。そのリソースを使って企業の売り上げを高めようと各社が考えたんですね。リアル店舗でもECでも売り上げにつながることが重要なので、その意味でSTAFF STARTはピッタリなんですね。「評価のオムニチャネル化」(※前編参照)という考え方があれば、STAFF STARTを使い店舗スタッフがEC売上をあげられれば、普段勤務しているリアル店舗の売り上げにもなるのでお店を潰す必要がなくなるし、スタッフの雇用も守れるんです。

越智氏はコロナを機にECで買う機会が増えた方々に対して、ネガティブな購入体験を減らせるよう、より丁寧に販売をしていかなければならないと話します。

越智氏:お客様には、洋服を買ってもらう瞬間だけじゃなくて、着続けていただく間も、ずっと満足してもらいたいと考えています。でも本当に満足したかどうかって分からないですよね。STAFF STARTのように、身長や体型が近い店舗スタッフのコーディネートを参考に購入したり、リアル店舗でちゃんと生地感を見て試着して間違わない商品を買っていただいたりしたほうが、最終的にはお客様の満足度につながります。満足していただければ、我々ファッションブランドの価値も上がりますよね。

SNSでスタッフとお客様が直接つながっている時代。小野里はSNSを上手に活用することで、ブランドに対するお客様のエンゲージメントは向上すると話します。

小野里:スタッフとお客様とのタッチポイントが多いうちに、チャット、LINE、InstagramなどSNSでのつながりを濃くしていかないと、お客様が離れていってしまう可能性があります。STAFF STARTはSNS連携ができるので、スタッフの個人Instagramでお客様を顧客名簿化していき、その名簿に対して販売できます。今では、SNS経由の売上が半分という大手企業も出てきています。

ユーザーの志向や行動が変わってきているからこそ、企業の取り組み方も変えなければいけないと斎藤氏も共感します。

リアル店舗でも「買わなかった人」にレコメンドできる仕組みづくりを


越智氏が今構想中だと話すのが「リアル店舗での情報開示」。ECサイトではランキングやレコメンド、「この商品を見ている人におススメ」などの情報が出てきますが、リアル店舗ではスタッフに声をかけられない限りおススメ商品が分かりません。もし今何がおススメ商品なのかが分かったら、店舗での体験がより良くなりそうです。

越智氏:今チャレンジしているのは店舗で「買わなかった人」のデータです。ECのお客様にも、店舗にどんどん行って、試着してくださいと促していますが、当然その中には、買わなかった人も出てきます。それはなぜだったのか? をデータとしてとっていきたいと考えています。店舗での購入率をもっと高めたいのに、店舗では商品を手にとっている人の情報を取得することはできません。どうしたらECのようにあらゆるデータを得られるになるか。ユニファイドコマースの次のフェーズとして、リアル店舗でのデータ取得は力を入れていきたいポイントですね。

ナノ・ユニバースではここ6年ほどチェックイン機能を取り入れています。お客様が店頭で公式アプリからチェックインすると、デジタルスタンプが押されポイントが貯まるというサービスです。この仕組みを利用して、店頭に来られたお客様を識別し、一人一人にパーソナライズされた情報をお伝えしたいと考えているそうです。

越智氏:チェックイン機能を使うことで、どのお客様がいつ来店されたかが分かります。そしてそのお客様が事前にECでどんな商品を閲覧されてきたかも分かる。店頭の在庫データを照合させることで、今店内にあるどの商品をそのお客様におススメしたいかが表示されるようになります。ベストセラー商品やSTAFF STARTで撮影したコーディネート商品も活用するなど、ECの閲覧履歴に応じてさまざまな提案をしていきたいですね。

斎藤氏:それはWEB上の行動履歴とうまくミックスしていくと、実現できそうですね。

越智氏:店内にいる間にどんな商品を見たのか、手に取ったのかといった情報も取得できれば、より具体的な提案ができます。今後STAFF STARTの精度もさらに上がると思うので、過去の購入履歴や閲覧履歴をベースに自動的にそのお客様に合いそうなコーディネート提案がされれば、よりお客様もコーディネートに迷わなくなるかもしれません。

これまでAnalyticsはECにあるものだ、WEBにあるものだという概念があったと小野里。斎藤氏も店舗の情報を組み合わせてレコメンドを出せたら、よりECでも安心して買えるし、来店時の接客の確度も上がるのではないかと共感します。

越智氏:ECでどのコーディネートを見ていただいたのかは分かるけれど、その中でもどれを試着したくてお店に来たのかが分かれば、かなりのレベルでお客様の嗜好が理解できるので、もう一歩次のレコメンドにつながるのではないでしょうか。

小野里:来店率が少なくても、コンバージョンレートを店頭で上げる施策ができれば、店頭の存在意義をもっと出すことができますよね。

販売スタッフが楽しめる仕組みで店頭を盛り上げる

お客様が店頭に来て試着しづらいから今だからこそ、店舗スタッフがお客様の代わりとなって商品を着て、お客様はそれをオンラインで確認できることが大事になっています。キャラクター、身長、シルエット…。プロフィールが濃ければ濃いほどお客様は「あなたから聞きたい」「あなたを選びたい」と感じてくれると小野里は話します。

越智氏:「パーソナライズ」って、言うのは簡単ですが実はすごく難しい。店頭でお客様の趣味嗜好に関する情報をしっかり集めた上で「このコーディネートいかがですか」と、店頭やECで提案でき、それにピタッとハマってもらえるかどうか。

今は、お客様が「頑張って探している」状態といえます。モバイル1つで商品を店頭に取り寄せ、来店予約や接客予約まででき、スムーズに商品がフィッティングルームに出てきて……。そこから店舗スタッフは、プロの目線でサイズ感をロジカルに説明する。こんな風にしてスムーズな体験の延長に、適切な商品提案ができて初めてパーソナライゼーションが成立するのかなと思います。

オンラインからリアルへ、お客様が会いに来てくださる


オンラインで店舗スタッフのファンになったお客様はそのままECで購入するだけでなく、実際に店頭で接客を受けてみたいと考え、来店するお客様も多いと言います。ナノ・ユニバースではチャット接客を始めて5〜6年経ちますが、今でも、売上の30%は店舗で発生していると言います。ファッションは、オンラインでは完結しづらい。それがECに注力してきた越智氏が出した答えでした。

小野里:人気になればなるほど、オンラインからリアルに来てくださる。チャット接客でも、AIなら「まぁ無視してもいいや」ってなるけれど、人間って人間にものすごく弱いので聞き入っちゃいますよね。このスタッフの方のやりとり楽しいから、お店に行ってみようかしらということもあり得ます。

越智氏:チャット接客を受け、「良さそうですね、店舗に行って着てみます」というお客様は結構いますね。良い情報を提供すれば買ってくれると甘く見てはいけない。お客様は、ZOZOTOWNなどのモール店を見て価格比較も当然しますから、ぐるぐるいろんなところを見て回って、ようやくその果てに買ってくれるものだと思っています。

洋服である以上、試着したい人はいなくなりません。せっかくご来店いただいたのに、次回はいついらっしゃるか分からないのはもったいないことです。予約機能を使って、3ヶ月後にご来店いただける約束を取り付けられたらいいですよね。年4回、季節に応じた洋服を買っていただけるのが一番の理想型ですね。

斉藤氏:スタッフを予約できるのは面白いですし、スタッフの方も気合い入りますよね。美容室なら次を予約して行く人はいるだろうけれど。髪は勝手に伸びますし、いつ頃来るかがよめますよね。

本来お店は、デートや家族とのお出かけの途中に立ち寄って、色々試着してみて、自分の違う一面を知ったり違う気分になれたり。そんな遊び感覚で使ってもらえる場所になってほしいと越智氏。小野里も店舗を訪れた時の空気感やショーケース、匂い、触感などがあったほうが、nano・universeが伝わるのではないかと賛同します。STAFF STARTのようなデジタル接客ツールを活用することでユニファイドコマースを加速させつつ、今後も店舗とのさらなる相乗効果が期待できそうです。

株式会社ナノ・ユニバース 経営企画本部 WEB戦略部 部長
株式会社 TSI EC ストラテジー マーケティングプラットフォームDiv Div長
越智 将平氏
2002年に株式会社ナノ・ユニバース入社。店舗での販売業務を経て、2005年よりECの担当となる。2010年よりWEB事業の責任者として、EC事業の拡大、CRM、デジタルマーケティングを中心に、店舗とECの融合に取り組んでいる。

株式会社ecbeing
執行役員
斉藤 淳氏
2000年よりECサイト構築パッケージecbeingの製品開発、並びにEC事業者への導入・カスタマイズ開発に従事。 プログラマー、SEを経てプロジェクトリーダーとして 100社以上のECサイトの構築を実施。その後、開発部長に就任。 現在、eビジネス営業本部 執行役員として ecbeing全般のマーケティングやセミナー責任者を務める。