「トゥモローランド」「キャバン」「ギャルリー・ヴィー」「エディション」など、多数のブランドを展開する株式会社トゥモローランド様。国内外のブランドを扱うセレクトショップでありながら、メーカーとして始まった歴史を持ち、細部までこだわるものづくりの姿勢は、店頭からデジタルまで全社に根づいています。
同社は2020年12月からSTAFF STARTを導入。スタッフ投稿経由の直接売上は、2021年から2025年の4年間で183%に伸び、1投稿あたりの売上も約1.8倍になりました。2022年からはデータバンク機能を加え、スタッフのスタイリングをメールやアプリでもお客様に届けています。お客様の店舗での購入翌日に、店舗のスタッフを紹介する「Thank You配信」は、開封率がメール配信平均の2.7倍を記録しています。
さらに2025年の「STAFF OF THE YEAR」では、同社の仁藤はるかさんが優勝。メディア掲載をきっかけにした来店や、スタッフの意識の変化にも広がりました。
今回は、ECやデジタルマーケティング、スタッフのデジタル活用を推進する上田様、荻原様、西井様に、STAFF OF THE YEARがもたらした変化から、データバンクを起点にした配信づくり、今後の展望までを伺いました。
・STAFF START(SNAP PLAY機能、まとめ機能、データバンク機能、動画投稿、お気に入り機能)
・コロナ禍で店頭営業が制限されるなか、店舗スタッフがオンラインで活躍できる場として導入(2020年)
・スタッフコーディネート・WEBコンテンツをECサイト以外でも活用できるよう、データバンク機能を追加(2022年12月)
・より多くの人に閲覧いただき、スタッフのモチベーションを高めるために動画投稿・お気に入り機能を追加
・Thank You配信の開封率はメール配信平均の2.7倍。他シナリオと比較し店頭での再購入を促進
・アプリにも展開した「お気に入りスタッフの新着スタイリング」配信は、メールのみの場合と比べてセッション数240%
・2025年STAFF OF THE YEARで仁藤はるかさんが優勝。メディア掲載をきっかけに来店・元顧客の再来店・採用応募にも波及
STAFF OF THE YEAR優勝が、店舗と会社にもたらしたもの
STAFF OF THE YEARは、STAFF STARTを導入する企業の店舗スタッフが、オンラインとオフラインの両面での接客力を競い、全国の店舗スタッフの中から日本一の「令和のカリスマ店員」を決めるイベントです。2025年大会では、トゥモローランド 丸の内店の仁藤はるかさんが優勝を果たしました。
仁藤さんの優勝をきっかけに、社内の動きはどう変わりましたか
西井様:これまでも入賞者はいましたが、「優勝」のインパクトは社内的にもとても大きかったです。STAFF OF THE YEARやSTAFF STARTの取り組みへの意識が高まりましたし、今年の大会にも「出たい」と自主的に手を挙げてくれるスタッフが出てきました。スタッフにとって、いい影響があったと思っています。
地方店舗のファイナリストも、地元紙に取り上げられたそうですね
西井様:2年前の大会ではトゥモローランド 札幌ステラプレイス店の大條が北海道新聞様に、昨年の大会ではトゥモローランド 熊本New-S店の松村が熊本日日新聞様に取り上げていただきました。松村は入賞こそ逃したのですが、所属している商業施設から「熊本代表としてありがとう」と表彰していただいたり、記事を見た同業他社のスタッフの方が「松村さんの接客を受けてみたい」と来店してくださったりもしました。

お客様からの反響で、特に印象に残っていることはありますか
西井様:特に印象的だったのは、しばらく足が遠のいていたお客様が戻ってきてくださったことです。STAFF OF THE YEARの記事を読んで「もう一度トゥモローランドで接客を受けてみたい」と来店してくださったんです。
スタッフにとっても、自分が大会で輝くだけでなく、会社・ブランド・お店にプラスの影響をもたらせたことが何より嬉しい出来事でした。
戻ってきてくださるのは、相当なパワーですよね。
西井様:そうなんです。それから、仁藤の優勝後は、WWD様や繊研新聞様などに掲載していただいたこともあって、オウンドメディア全体の閲覧数が大きく跳ね上がりました。ファッション業界を目指す学生の方も見てくれていたようで、「STAFF OF THE YEARを見た」「記事を見た」と面接を受けに来てくださることもあると人事から聞いています。
STAFF OF THE YEAR出場者の意識には、どのような変化がありましたか
西井様:みなさん共通しているのが、「自分だけでなく、周りのスタッフもバックアップしたい」ということです。自分の売上、自分のスタイリングだけでなく、所属店舗や、近隣の別業態の店舗、ブランドや会社全体のスタッフを支えたい、と。プレーヤーからリーダーへ、という意識の変化はわかりやすくありました。
この流れを受けて、今後はSTAFF OF THE YEARに出場したスタッフを講師に迎えた、社内向けのスタイリング投稿レクチャー会を企画中です。日々STAFF STARTを使いこなし、大会を通じて他社の取り組みも知っているメンバーが、次の世代に伝えていく。本部から一方的に教えるのとは違う、現場発の育成のかたちを目指していきます。
西井様ご自身は、優勝の瞬間をどのようにご覧になっていましたか
西井様:自分も出場している気持ちになり、毎日一緒に一喜一憂していました。何位でも嬉しいですが、やっぱり優勝は特別でしたね。涙腺崩壊でした!
STAFF OF THE YEARは、スタッフが店頭以外で輝ける場所を見つける、ひとつのきっかけになっていると感じています。

STAFF OF THE YEARのためにも動画投稿・お気に入り機能を追加されたと聞きました
上田様:STAFF OF THE YEAR 2025の予選中に、少しでも多くのお客様にスタッフ投稿が届き、スタッフにとってもいい影響があるのであれば入れたほうがいい、と判断しました。
お気に入り機能には、もうひとつの狙いがありました。STAFF STARTのお気に入り機能は、お客様がスタッフやコーディネートをお気に入り登録すると、スタッフの投稿アプリに毎朝通知が届くのですが、その仕組みがスタッフのモチベーションを高めると感じたからです。
動画の効果はいかがでしょうか
西井様:動画機能を使いこなしているスタッフでは、1投稿あたりの経由売上が動画なしの1.7倍を超える例も出ています。弊社では、カジュアルなコーディネートよりも綺麗めのコーディネートの方が経由売上が立ちやすい、といった分析もできています。
一方で、撮影に時間がかかることや、クオリティのばらつきがあることは課題です。
そこで動画の撮り方をアドバイスするなどの工夫を重ね、動画の質を高めながら、スタッフが無理なく取り組める環境を整えていきたいです。

データバンク導入の背景:スタッフの投稿を、ECの外へ
ここからは、EC・デジタルマーケティングを担う上田様・荻原様に、データ活用の取り組みを伺いました。
まとめ機能・データバンク機能を追加された経緯を教えてください
上田様:きっかけは、2022年に始まったECのリプレイスでした。コンテンツを掲載するCMSが必要になり、同時にMAもリプレイスすることになりました。
せっかくなら、STAFF STARTのデータ(スタッフ情報やコーデ、コンテンツ情報)もまとめてMAやCDP(DWH)に渡せたほうがいいよね、ということで一緒に導入しました。
STAFF STARTに蓄積されたスタッフの投稿コンテンツを、企業が持つ外部のシステムへ連携する機能です。連携したデータは、MA(メールやアプリ通知を自動で配信する仕組み)やCDP(顧客データ基盤)、CDP(DWH)などに取り込めるため、スタッフのコーディネートをメールマガジンやアプリ、ランディングページなどECサイト以外のチャネルでも活用したり、自社の顧客データと掛け合わせて分析したりできるようになります。

データバンクを持て余した時期から、自分たちで回せるMAへ
データバンクを導入した当初のお話を聞かせてください。
上田様:2023年にMAのリプレイスが完了し、データバンクのデータをシナリオに活用するようになりました。ただ、当時はMAに対しての知識も乏しく、初期構築時のシナリオに組み込むところにとどまってしまい、シナリオを増やしたり、内容を変えたりするのも難しい状況でした。
その後、Brazeへのリプレイスを決められたそうですね
荻原様:ちょうどその頃、公式アプリのユーザーが急増していて、サイトへのトラフィックに占めるアプリの割合も大きくなっていたので、アプリでもパーソナライズされた配信を強化したいと考えていました。
配信チャネルが豊富で、サポートも手厚く、何よりデータまわりやシナリオづくりを自分たちでやっていけるMAを選ぼうということで2025年にBrazeへリプレイスしました。
そのうえで2025年8月からは、データバンクのスタッフ情報もBrazeに連携し、スタッフ投稿コンテンツをBrazeでの配信に活用できるようにしました。
上田様:配信のパーソナライズに使うLiquidという言語を習得し、チームで週に一度、書いたコードをレビューし合う時間を作っています。新しい配信のシナリオは、最近だとほぼ毎月1本のペースでリリースしています。このようにコンテンツの作成から配信までを内製で実施できることで、様々な配信施策をスピード感持ってできるようになりました。
Thank You配信:スタッフ紹介の配信は、店頭での再購入につながりやすい
同社の取り組みのなかでも、とりわけ反響が大きいのが「Thank You配信」です。
Thank You配信とは、どのような仕組みですか
上田様:店舗で購入されたお客様のロイヤルティ向上を目的にした配信です。お客様の購入データには「どの店舗で、どのスタッフから購入したか」が入っています。その店舗ID・スタッフIDをキーに、データバンク経由でBrazeに連携したスタッフ情報を呼び出し、購入店舗のスタッフと、店舗スタイリングを一緒に配信しています。

始められた背景を教えてください。
荻原様:ロイヤルカスタマーのほぼ100%が店頭での購入が中心でした。商品やブランドのファンになっていただくのはもちろん、スタッフのファンになっていただく。スタッフを起点に再来店につなげる施策が有効なんじゃないかと考えました。紙のDMの代わりにすることで、コストや店頭スタッフの負担を減らす狙いもありました。MAツールであれば、一度シナリオを組んでしまえばあとは自動で配信してくれるのでとても助かっています。
どのようなお客様に配信しているのでしょうか
上田様:自社で定義したライトユーザーの方に送っています。すでによく店舗にきていただいているロイヤルユーザーの方に毎回同じスタッフの情報をお送りしても、煩わしいと思われる可能性が高いので。
配信の成果はいかがですか
荻原様:配信前後1年の比較で、次のような結果が出ています。
・開封率:メール配信平均の2.7倍
・スタッフのお気に入り登録数:1.2倍
・コーディネートのお気に入り登録数:1.5倍(1投稿あたり)
荻原様:また、各配信施策において、クリックしたお客様が、最後に接触したチャネルをもとに、どこで何を買ったかをダッシュボードで比較しているのですがメールやアプリの配信全体だと、オンラインの売上が比較的高い傾向の中、Thank You配信だけは実店舗購買が圧倒的に多いです。結果として、お客様のお店への再来店・購買の促しに繋がっているのが感じられる数字だと思います。
Thank You配信施策を、どのように評価されていますか
上田様:Thank You配信には、自社ならではのオリジナリティが出せているのではないかと感じています。販売目的ではないお客様とのタッチポイントを自然に作れること、再び店頭に来ていただくきっかけになること、お気に入り登録をしてもらえるきっかけになることなど、一定の効果があると評価しています。
お気に入り登録されると、スタッフの投稿アプリに通知が届くのでスタッフのモチベーションアップにも繋がっているかと思います。
また、シナリオ作成が内製化できているからこそROIを基準にしない施策を実施でき、他社との差別化につながっていると感じています。

アプリへの横展開で、セッション数240%に
アプリでの配信は、どのように工夫されていますか
荻原様:Brazeのランディングページ(以下、LP)という機能を活用し、様々なLPを作成していますが、その一つとしてお客様のお気に入りスタッフ情報に合わせた新着スタイリングを配信しています。
これまでも同様のシナリオ内容をメールで送っていたのですが、アプリにも広げました。

メールとアプリで、反応の違いはありますか
荻原様:メールに加えてアプリでも届いたお客様と、メールのみのお客様を比較すると以下のような差が出ました。
・お気に入りスタッフの新着スタイリング:セッション数240%
スタッフスタイリング投稿以外にも定番のシナリオを、順次アプリにも広げていますが、それぞれとてもいい効果が出ています。
・お気に入りアイテムの残りわずか通知:売上金額2.35倍
・お気に入りアイテムの値下げ通知:売上金額1.55倍
【アプリ配信の一例】

ポイントの有効期限のお知らせやバースデークーポンでは、特に大きな差が出ています。ポイントの期限が切れそうなお客様は、メールをわざわざ開かない方も多い傾向にありますが、アプリのプッシュ通知でしっかりリーチできているのだと思います。
アプリならではの取り組みもあるそうですね。
上田様:アプリのみの機能として、DL直後からポイントが貯められる「仮会員」の仕組みをスタートしています。メールは配信の許諾が必要ですが、アプリならプッシュ通知を許可してもらえれば、会員登録前のお客様にも配信できます。セール・キャンペーンの告知やThank You配信によって、お客様にお店やスタッフのことを思い出してもらえるきっかけをつくれる。デジタルでお客様との接点をつくり続けながら、実際にお店に足を運んでいただくきっかけをつくることが大切だと考えています。

最後に
スタッフ投稿・データバンク機能の導入を検討している企業に向けてメッセージをお願いします
西井様:SNAP PLAYの魅力は、スタッフが店頭での接客にとどまらず、新しいモチベーションを持てる場所を提供できる点だと思います。オンラインの売上にもしっかりとつながっています。
上田様:そんな店頭のスタッフが店頭業務の合間に時間を作って投稿してくれたスタイリングを、ECサイトで見てもらうだけなのはもったいない。データバンクを使えば、ECサイトを超えた様々なチャネルで、広くお客様に届け続けられる。
オフラインだけでなくオンラインでも、スタッフの活躍の場をさらに広げられることがSTAFF STARTのスタイリング投稿、そしてデータバンク機能を導入する意義だと思っています。
トゥモローランド様に学ぶ、明日から真似できること
・動画投稿に関して、撮影会など、すでにある場で動画の撮り方を一緒にレクチャーする
・購入後にスタッフを紹介する配信を送ってみる
・メール配信の内容をアプリでも展開する
お問合せ
トゥモローランド様の取り組みが示しているのは、スタッフが心を込めて作ったスタイリングが、ECサイトの外にも届き、お客様をもう一度お店へ、スタッフのもとへと導いていく姿です。STAFF OF THE YEARという舞台でも、日々の配信でも、その中心にはいつもスタッフ一人ひとりの接客がありました。
STAFF STARTは、店舗スタッフが接客を楽しみながら、オンライン・オフラインの両方で生き生きと活躍できる世界を目指しています。
「自社ではどのように活用できるか」 「その他の事例も詳しく知りたい」
上記のようにSTAFF STARTに関してご興味のある方はお気軽にご相談ください。
取材ご協力
株式会社トゥモローランド
デジタルコミュニケーション部 部長
上田 知弘
うえだ ともひろ
2010年株式会社トゥモローランドに新卒入社。
都内店舗勤務後、本部に異動しECの運用/開発に従事。
BtoCデジタル領域の部署統合により、2020年から現職。
2023年自社EC&MAツール/2025年MAツールリプレイスPJでプロジェクトマネージャーを務める。
現在はEC/CRM/MAツールなど、デジタルマーケティング領域全般のシステム設計/戦略策定など上流設計を担当。

株式会社トゥモローランド
デジタルコミュニケーション部 WEBマーケティング課 課長
荻原 利修
おぎわら としのぶ
2014年に株式会社トゥモローランドに中途入社。
都内店舗で数年販売を経験。
2017年に本部に異動し販売促進に従事。2020年から現職に。MAの活用からコーポレートサイトのリニューアルなど幅広い領域に携わる。

株式会社トゥモローランド
デジタルコミュニケーション部 WEBマーケティング課 ブランドチーム リーダー
西井 寛子
にしい ひろこ
2015年。株式会社トゥモローランドに新卒入社。店舗で販売を経験後、2018年に本部へ異動し販売促進に従事。2020年より現職。トゥモローランド ウィメンズを中心に、WEB/SNSをはじめとするデジタル領域のコンテンツ企画・マーケティング・発信まで幅広く担当。











